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「ヒステリー」というと、どんなイメージが頭の中に思い浮かびますか?

「キーッ!!」と怒り狂っている状態や、感情がたかぶって激情している状態、物を投げたり壊したり、といったように、まさに発狂しているのかとも感じられる様子ですよね。

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今回は、その「ヒステリー」についてお伝えします。

ヒステリーは元々は神経症という病気のひとつだった!?

今では、ヒステリーは次のような意味で使われることが一般的です。

・とても短気
・怒りだしたら止まらなくてエスカレートする
・興奮や激情によって感情のコントロールが出来なくなる

しかし、かつては精神医学においては、「ヒステリー」は神経症のひとつとされていて、今とは違うものを指していました。

神経症とは、恐怖症、トラウマ、強迫症、パニック障害などの精神障害・精神疾患の中のひとつですね。

その原因・症状は様々で、主にストレスによる心理的な要因によるものが多いといわれています。

「ヒステリー」は、その神経症のひとつと位置づけられ、その症状から2つのタイプに分けられました。

ヒステリーの2つのタイプと症状について

精神医学においては、ヒステリーは「転換ヒステリー(転換性障害)」と「解離性ヒステリー(解離性障害)」に分けられます。

「転換性障害」はフロイトが唱えた「心の葛藤が身体的症状に転換されたもの」であり、「解離性障害」はユングが注目した「意識の中の一部が解離して別の人格になったように見える精神の機能障害」のことです。

「転換ヒステリー(転換性障害)」の場合、身体の一部あるいは全体が麻痺やけいれんを起こしたり、皮膚感覚が麻痺したり、失声や視野狭窄(視野が狭くなる)に陥ることがあります。

また「解離ヒステリー(解離性障害)」では、最近の重要な出来事の健忘やもうろう状態、遁走(突然家庭や職場から離れて放浪する)、トランス(憑き物状態)、多重人格状態などがあげられます。

心の傷(トラウマ)を負った心の防衛反応が「解離」であるとも考えられています。

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ヒステリーは女性に多いの?

「ヒステリー」は古くから知られた神経症の典型で、女性に多いため、ギリシャ語で子宮を表す「hysteria(ヒステリア)」を語源として「ヒステリー」と呼ばれるようになりました。

ヒステリーは脳の病気とされたこともありましたが、1870年代に神経学者J.M.シャルコーが催眠によるヒステリーの治療を行い、心の病であることが明らかになりました。

そのシャルコーから学んだフロイトは、ヒステリーとは心の葛藤が身体機能の麻痺などに転換されたものであると主張しました。

それに対し、フロイトの弟子でもあったスイスの精神病学者C.G.ユングは、ヒステリーの別の症状であるもうろう状態や憑き物状態、多重人格状態などに注目した。

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まとめ

「ヒステリー」とは、かつては神経症にひとつとして扱われていましたが、今現在では本来とは違う意味で「ヒステリー」という言葉が一般的に使われるようになっています。

そういった流れもあり、アメリカ精神医学会の「精神障害の診断と統計の手引き第四版(DSM-IV)1994年」においては、「解離性障害」と「身体表現性障害」に分類されるようなっています。

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◆この記事は、東京工業大学名誉教授、精神科医、医学者である影山任佐先生執筆・監修の「図解雑学 心の病と精神医学(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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