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境界性人格障害の人の恋愛依存、セックス依存、本人は何を考えてるの?

境界性人格障害(ボーダーライン症候群)の人が繰り返す衝動的な行動は、リストカットなどの自傷だけではありません。

衝動的な感情行動(情緒不安定)、激しい恋愛(恋愛依存)、派手な異性関係からセックス依存(性依存)まで、自分を心理的にも身体的にもいじめるような行動を繰り返す特徴があります。

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境界性人格障害に特徴的にみられる症状や行動についてみてみましょう。

境界性人格障害(ボーダーライン)にみられる症状と行動例

リストカットなどの自傷行為

境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害)の人は、自殺未遂やリストカット、自傷行為などの問題行動を筆頭に、さまざまな衝動的な行為に走ることがあります。

それらの行為は、自分を深く傷つけ破壊していくおそれが強い、という点で共通しています。

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過食や嘔吐をくり返す

境界性人格障害の人は、心が動揺するような出来事があると、それをきっかけに暴飲暴食をしたり、むちゃ食いして吐く、といった過食と嘔吐の行為を繰り返すことがあります。

精神的にひどいときは、体調不良になるほどの無茶食いをする例もみられます。

それはまるで、自分で自分の体をいじめることにためらいがない、という感じのようにも見えます。

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薬物やアルコールに依存する

病院で処方薬を大量に入手して薬を常用、乱用したり、覚せい剤などの違法な薬物を買い求めて乱用したり、アルコールの大量摂取を続けてしまうといったことも、境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人にはよくみられる問題行動です。

それらがきっかけとなり、境界性人格障害の人が薬物依存やアルコール依存などの依存症に陥ってしまうケースも少なくありません。

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奔放な恋愛を繰り返したり、セックス依存になる

境界性人格障害(ボーダーライン)の人にみられる特徴として、恋人と熱烈な恋愛関係にあったかと思うと、別れてすぐまた別の人と付き合いはじめたりと、恋人(彼氏・彼女)がコロコロ変わり、派手な恋愛関係になりがちです。

はたから見ると、一見「いっときも離れたくない!」とでもいうような密接な関係にみえても、ささいなことで急に別れたりすることがよくあります。

また、よく知らない不特定多数の相手とセックスをしたり、一夜限りの肉体関係を持つこともあります。

それゆえに、ボーダーラインの人はセックス依存症か!?と思われてしまうような場合も少なくありません。

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なぜ、境界性人格障害は派手な恋愛やセックス依存、自傷行為や過食などの問題行動をするのか?

境界性人格障害(ボーダーライン症候群)にみられる問題行動の多くは、人間関係の間で感じる不安や無力感、激しい怒りなどが原因となって生じる反応です。

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本人とっては、深層心理に耐えがたい心の苦しみが背景にあるのです。

心の苦痛をやわらげることを目的として、自傷行為(リストカット)や過食(ドカ食い)、派手な恋愛や性依存などの行動をしてしまうのです。

痛みを感じることで安心感を得る、食べることでいっときの満足感を得る、性的な関係を結ぶことで孤独を忘れる、アルコールや薬物で空虚さをおさえる、というように、様々な問題行動によって精神的な不安や苦しみを緩和させているのです。

普通の人からみれば問題行動と思われるようなものであっても、ボーダーの本人には虚無感や不安など心の苦しみをやわらげるための行動にほかなりません。

【一般的な普通の人の場合】
一般の人は飲みたい、食べたい、性的な快楽を得たいといったような欲望を満たすために、行動をすることがあります。

【ボーダーラインの人の場合】
いつも感じている「見捨てらてしまうのではないか」という不安や孤独感が、自分では処理しきれないほど高まったとき、衝動的な行動に出てしまいます。

いわゆる普通の一般の人と、境界性人格障害の人とでは、こういった行動の心理的背景が違うのです。

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境界性人格障害の人は問題行動で自己防衛をしている

衝動的に自分を傷つけるような行動の繰り返しは、まわりの人には、バカなこと、愚かなことに思えるかもしれません。

しかし、境界性人格障害本人にとっては切実な理由があります。

コントロール不能なほどの激しい心の動揺に苦しんでいる彼らは、自分の体を犠牲にするような行動を起こすことで、なんとか気持ちの安定をはかっているのです。

「自傷行為をするな」
「リストカットをやめた方がいい」
「自分を傷つけるような行為はよくない」

といった言葉は、相手を思いやる気持ちから出てきているのですが、境界性人格障害の人にとっては「生きるな」と言われているかのように感じてしまうのです。

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境界性人格障害の過食と摂食障害の過食症とは何が違うの?

「食べたくないのに食べずにはいられない」など、自分自身で食べることのコントロールが利かない状態は「接触障害」と診断されます。

境界性パーソナリティ障害の症状のひとつと考えられるのは「空しさをまぎらわせる」などの理由で、自らすすんで過食をする場合です。

しかし、厳密に両者を区別することは簡単ではありません。

「あれ、何かおかしいな?」と感じたときは、近くの医療機関などへ早めに相談に行かれることをおすすめします。

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◆この記事は、精神科医、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授である牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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