世界スタンダードともいえるカウンセリング技法といえば、カール・ロジャース博士が提案した「来談者中心療法(クライエント中心療法)」になります。
いわゆる「心理カウンセリング」ですね。クライエント中心療法ともいわれます。
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心理カウンセラーといえば、悩みを聴く、相談を受ける、コミュニケーションのプロですね。
今回は、そのコミュニケーションのプロである心理カウンセラーが大切にしているロジャースの3つの原則をお伝えします。
心理カウンセリングとは?
家庭における子育てや、会社などの職場での部下の育成など、教育や育成の場におけるコミュニケーションとして、心理カウンセリングのスキルはとても役に立ちます。
なぜ、心理カウンセリングのスキルが役に立つのか?
心理カウンセリングとは、テクニックによってクライエントの問題や悩みを解決するものでありません。
心理カウンセラーは、クライエント自身が持つ人間としての潜在的な強さやバイタリティといった人間力を信じることから始めます。
カウンセリングは、クライエント中心に悩みや問題をちゃんと聴き=傾聴、ときには質問したりして、クライエント自身が自分の行動に責任を持ち、自分がどういう人間なのか、という自己理解を深めるサポートをしていきます。
そして、クライエントが意味のある意思決定をし、そこから行動にうつしていくことを、心理カウンセラーは援助していくのです。
▼関連記事
→カウンセリングの3条件と方法/やり方について【傾聴/共感/受容】
心理カウンセリングで大切なロジャースの3原則とは?
カール・ロジャースは、心理カウンセラーが備えるべき3つの原則をあげています。これらをロジャースの3原則と呼んだりもします。
1.無条件の肯定的配慮
2.共感的理解
3.自己一致
この3つそれぞれについて、もう少しポイントをみていきましょう。
無条件の肯定的配慮
無条件の積極的関心、無条件の肯定的尊重、無条件の積極的受容となっている文献もあります。意味はほぼ同じです。
無条件の肯定的配慮とは、クライエントのここが良いけどここが悪い、という条件付きの受容ではなく、クライエントの個人の人格やすべての部分を尊重し、無条件に受け入れていく、理解していく姿勢になります。
無条件=Non-Judgementといわれます。ジャッジせずに、条件つきではなく、ということですね。
心理カウンセラーは、クライエントの感情表現・態度・価値観などを、ありのままに無条件に受容するのです。
これをひと言で言うなら「受け入れる」となります。
実際の臨床現場においては、来談者中心療法=クライエント中心療法のカウンセリングのアプローチでは、相談者は自分の話したい内容や感情・気持ちを自由に話すことが基本になります。
心理カウンセラーとしては、クライエント自身が話したいと思う話題を傾聴し、クライエントの素直な感情をあたたかく無条件に受け入れていくという姿勢が大切になります。
クライエントの個人的な価値観、ときには偏見だったりする場合もありますが、それらに対してもカウンセラーが反論や批判することなくクライエントを尊重し、理解していこうという姿勢で関わっていきます。
共感的理解
共感的理解とは、クライエントの立場になり、その心の世界をあたかも自分自身のことであるかのように感じ、それをフィードバックしていく姿勢です。
悩みや問題となる人間関係や状況の中で、クライエントがどんな感情を抱いているのかを共感的に理解していくことになります。
クライアントの感情は、不安・恐怖・怒り・悲しみといった強烈な感情の場合もあります。
それらをカウンセラーが、想像力と感受性を活かし共感的に理解していくことで、クライエントの苦悩や問題となっている感情の共有がうながされ、クライエントの苦しみや悲しみなどの苦痛を緩和させる効果があります。
共感的理解をひと言であらわすなら「寄り添う」ですね。
自己一致
自己一致とは、心理カウンセラー自身の気持ちに嘘がなく、純粋であることを意味します。
『自分がどのような人間なのかという自己概念(自己イメージ)』と『現状での経験(感情・思考・態度・行動)』が一致していて、自分の中での矛盾が存在しない状態になります。
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自己分析によって、自分の心の中での感情や価値観に対しての深い観察や適切な洞察、自己分析が出来ていて、自分自身の中で違和感や苦痛を抱えていない健全な心の管理が出来ているということです。
自己一致をひとことで言うなら「ありのまま」になります。
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日常のコミュニケーションに活かそう!
さて、このロジャースの3原則「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」「自己一致」を日常のコミュニケーションにどのように活かされるのでしょうか?
例えば、子育ての場合について考えてみましょう。
→子どもの悩みを聞くときに絶対にやってはいけない4つのことについての記事はこちらで
無条件の肯定的尊重
子どもを無条件に受け入れることは大切です。特に赤ちゃんから幼少期にかけては、重要性が高まります。
上手にできた場合だけ受け入れる、上手にできなかったら受け入れない、という関わりは、子どもの心を不安定にしてしまいます。
その子が大人になって安定した心を手に入れることができるかどうかは、子どもの頃に親から無条件の愛を受けることができたかどうかによって決まると言ってもいいすぎではありません。
上手くできても、上手くできなくても、無条件に受け入れる=愛するという関わりですね。
安定した心を育むために、受容することが大切になってきます。
共感的理解
心理カウンセリングは共感=寄り添う姿勢が基本です。また、非指示的ともいわれます。
「あれをしなさい」「こうしなさい」と指示・命令するのではなく、共感し寄り添う姿勢です。
親や大人にアレコレと命令されて、その言うことを聞き、自分で考えることなく言われる通りにして成長した子どもは、いざ大人になったとき、自分で考える、ということが身に付いていません。
自主性のない指示待ち人間となってしまうわけです。
自主性、自立心を子どもの心の中で育んでいくためには、共感的理解の姿勢が大切になってきます。
自分で考え、自分でどうするかを決定し、行動に移していく、という一連の流れを援助=サポートしていくという親のコミュニケーションによって、子どもが自立していくのです。
自己一致
親が自己一致できている=自分の心に嘘がない状態であることは、子どもにいい影響をあたえます。
自分の心に嘘がなく、ありのままの自分を受け入れている親の姿をお手本に子どもは成長していくのです。
誠実さや正直さ、自分を受け入れる、自分を愛する、といった心の安定した人間になっていくことでしょう。
心理カウンセラーの資格取得について
ロジャーズの3原則をベースとしたカウンセリングスキルは、日本だけでなく、海外諸国においても「ベーシックなカウンセリングスキル」として評価されている基本的な技法のひとつです。
また、カウンセリングスキルは、精神疾患のカウンセリングだけでなく、子育て、恋愛、結婚などの人間関係、営業などの仕事での対人コミュニケーション、部下や社員のコーチングなど、対人コミュニケーションの場面において活躍する重要なコミュニケーションスキルですので、誰でも身につけておいたほうがいいスキルといえます。
現在、日本国内においてもいろいろなカウンセリングスクールがあります。通学に便利なスクール、受講料がお得なスクール、ガッツリ学べる講座から、気軽にお試しで学んでみる講座など、様々なカウンセラー資格取得講座があるので、自分のスタイルにあった講座で学ぶとよいでしょう。
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