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カウンセリング、認知療法によるうつ病の治療について

うつ病の治療は薬物療法が中心になりますが、支持的精神療法や認知療法などの精神療法も行われています。

精神療法は、患者さんのそばに寄り添うことで、心に働きかける治療法です。

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うつ病に対する主な精神療法には、次のような種類があります。

カウンセリング・支持的精神療法

心理カウンセリング、支持的精神療法は、最も基本的な精神療法です。

対話・会話を通して、患者さんの苦しみや悩み、不安をくみとり、それを理解して支持し、心の葛藤をやわらげます。

受容され、共感され、あたたかく見守られて、患者さんは無理のない考え方や生き方を見いだしていきます。

特別な精神療法ではなく、通常みられる精神科医の診療姿勢が心理カウンセリング・支持的精神療法であるといえます。

認知療法によるうつ病の治療

うつ病におちいると、考え方や物事の認識に偏りやゆがみが生じます。

こうした物事の見方や考え方、つまり「認知」を修正する精神療法が認知療法です。

認知療法では、白か黒かという二分割思考や、悪い方ばかり考えるマイナス思考などのゆがみを合理的な思考に導くことで、うつ病の回復へとつなげます。

対人関係療法のうつ病治療

うつ病の要因には、夫婦や親子の間でのしがらみ、上司との折り合いなど、人間関係のいざこざが少なからずあります。

そうした対人関係の不都合を、本人が前向きに解決していくように取り組むのが「対人関係療法」です。

精神療法は、一般的には、うつ病がある程度回復した時点で始まります。

うつ病の初期、症状が重い状態では、会話を続けることがかえって負担になります。

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重症のときは、思考が停止しているので、人の助言や配慮を受け入れる余裕がありません。

診察時間を長くとれず、十分な精神療法が行われない場合もあります。

認知療法の具体例

うつ病のマイナス思考などの思考のゆがみを、合理的な思考に修正するために、次のような取り組みが行われています。

治療としての調整

「どんな状況のとき、どんな風に考えるのか」を医師が具体的に質問する。

患者はノートにどのように考えるかを書き、医師とともにその考えが「偏っていないか」「かたくなな考えではないか」などと検証し、合理的な考え方で修正していく。
例「仕事でちょっとしたミスをした」(状況)

「同僚にダメな人だと思われ、自分にはもう仕事はまわってこない」(ゆがんだ認知)」

「ミスはよくないが、失敗したからといって自分のすべてが否定されるわけではない。同じミスをしないように方法を考える」(修正)

実習

治療を通して学んだ柔軟な考え方、合理的な考え方を実生活の中で試してみる

素直で無理のない考え方を実生活の中に取り入れて、気分の落ち込みを防ぐ

【参考】カウンセリング

カウンセリングは、悩みをかかえている人に寄り添うことで、本人の気持ちの安定や問題の解決を得ていきます。

カウンセリングは、英語で「相談」という意味ですが、単なる相談ではなく、本人が問題に気づき、解決のための人間的成長や困難から立ち直るのをそっと支えることが目的です。

カウンセリングは、臨床心理学などの知識と経験をもった臨床心理士によって行われます。

◆この記事は、赤坂診療所所長、精神保健指定医、渡辺登先生執筆・監修の「これでわかるうつのすべて(成美堂出版)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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