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家族の対応はどうすればいい?境界性人格障害の治療について

母親、父親、兄弟という家族の存在は、境界性人格障害の患者本人にとって大きな影響を与える存在になります。

家族が積極的に境界性人格障害の治療に関わることは、患者本人にとっても、また家族のメンバーにとっても良い結果につながるでしょう。

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というのも、境界性人格障害の患者本人も含め、母親や父親、兄弟など家族みんなで心理カウンセリングを受け、お互いに想いや感情をぶつけ合うことが、境界性人格障害の早期回復につながることが多いのです。

境界性人格障害患者の家族の状態を把握する

境界性人格障害の治療では、症状を改善するためには、患者本人の努力だけでなく家族の接し方や対応も重要なポイントになります。

家族がどのように対応するか、本人との接し方や家族関係も、境界性人格障害の克服に深く関係していることも少なくありません。

また「境界性人格障害をなんとかしようと思えば思うほど、どうにもならなくなってしまう・・・」といったような状態にある時は、まず家族がどのような状況に陥っているのかを把握することが大切です。

家族が疲れきっている【境界性人格障害】

境界性人格障害は、患者本人の感情や行動が激しいのが特徴的で、家族は本人の激しい怒りの感情や行動に振り回されることもが多くなりがちです。

家族がどう対応すればいいか分からず、対応に行き詰まってしまい、悩み、疲れ、ストレスがたまってしまうことも多いのが、境界性人格障害の特徴のひとつです。

最初のうちは、家族も、あの方法はどうか、この方法はどうか、と様々に試行錯誤しながら境界性人格障害への対応方法を探しますが、時間が経てば立つほど、家族の心の中では不安や恐怖が生まれていきます。

その結果、心理的にも身体的にも家族が疲れきってしまうことも少なくありません。

境界性人格障害の治療において大きな影響を持つ家族が疲弊しきってしまっていては、家族関係の改善も難しく、適切な対応をすることも困難になってしまいます。

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母親が孤立していることも多い

特に、境界性人格障害の患者本人の母親は、治療に対して父親が非協力的なことも多く、また子どもの育て方への自責感もあり、ひとりで悩みをかかえがちです。

そのため、母親が孤立しているケースも多くみられます。

境界性人格障害の患者の母親が孤立すればするほど、母子関係は密着してしまい、悪循環に陥りやすいので注意しましょう。

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家族関係は程よい距離感を保つことが境界性人格障害の改善につながる

境界性人格障害患者の家族は「自分たちがなんとかしなければ」という思いから、本人を励ましたり、説得したり、あれこれ世話を焼いたりします。

しかし、家族が本人のために「よかれ」と思ってする対応が、境界性人格障害患者本人(子ども)にとっては「親に支配されている」と感じしまうこともあり、患者本人にとっては精神的苦痛になっていることも多いのです。

まずは、境界性人格障害の治療を通して、家族関係を見直すことからはじめましょう。患者本人の問題と家族の悩みは別の物です。患者の問題は本人にしか解決できないと認識した上で、新たな対応の仕方を見つけていきます。

境界性人格障害の治療では、患者本人と家族が程よい距離感を保つことが大切です。

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境界性人格障害と家族療法について

境界性人格障害の患者本人を含めた家族全体の状況の改善を図るために行われるのが「家族療法」です。

境界性人格障害の治療には、ほとんどの場合、何らかの形で家族が治療に参加し関わることになります。

なぜなら、主治医やカウンセラーといった治療者よりも家族の方が問題を解決できる力があるからです。

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個別面接

家族療法での個別面接(カウンセリング)では、境界性人格障害の患者と家族とが、それぞれ個別に治療者(カウンセラー・医師)のカウンセリングを受けます。患者が家族の同席を嫌がる場合や、患者本人に治療意欲がなく、また家族も対応を困っているときなどに、個別面接(カウンセリング)が行われる場合があります。

家族での合同面接

境界性人格障害の患者本人と家族とが同意した場合に、家族での合同面接(カウンセリング)が行われることがあります。患者本人も親や兄弟などの家族も、お互いに本音をぶつけ合うことで膠着した状況を変えやすい効果があります。患者と家族が一緒に治療者の面接(カウンセリング)を受ける形の家族療法になります。

グループミーティング

家族療法におけるグループミーティングでは、数家族が一緒に集まり、治療者と一緒に話し合う形がとられることがあります。家族が境界性人格障害についての理解や対応の仕方を学びます。グループミーティングに参加した家族同士が助け合うという相乗効果も期待できます。

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境界性人格障害の家族の対応【まとめ】

境界性人格障害の患者の家族は、本人以上に悩み苦しんでいる場合が多いものです。

家族が悩んだ上での対応や関わり方が、皮肉なことに境界性人格障害の症状をさらに悪化させてしまうことも少なくありません。

逆に言えば、家族の適切な対応は、境界性人格障害患者の心理状態を安定させ、症状の改善、早期回復へとつながりやすく、治療を助けるものにもなりうるのです。

境界性人格障害の治療においては、家族と治療者(医師やカウンセラー)とのカウンセリングを通して、家族が置かれている現状を正しく理解し、家族関係や患者への対応を見直すことが大切です。

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◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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