統合失調症(昔の精神分裂病)は、世界中のどこの国でも患者がいる有名な病気です。
また、これまで統合失調症についての多くの研究から統計的にいくつかの傾向があることがわかっています。
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・統合失調症になりやすい年齢は?
・男女の比率・割合は?
・男性と女性で何か違いはあるのか?
・統合失調症って遺伝するの?
統合失調症になりやすい年代は、何歳頃?男女割合は?遺伝するの?
統合失調症になりやすい年齢はあるのでしょうか、あるとすればそれは何歳頃なのでしょうか。
実は、統合失調症の大きな特徴のひとつに、若い人に発症しやすいことがあげられます。
子どもや40歳以上の大人(壮年期)が統合失調症になるケースもありますが、主に10代後半から20代の年齢にかけて統合失調症を発症する割合が最も多いことがわかっています。
統合失調症の男女の比率・割合は?
次に、統合失調症の患者の男女比率・割合について。
年齢的な差はありますが、統合失調症の発症率、患者人数に関しては、男女の間に大きな差はなく、男女比はほぼ同じとされています。
年齢でいえば、女性の場合は20代から30代はじめの年代で統合失調症になることが多く、男性と比べると3〜6歳、発症年齢が高いこともわかっています。
中学生、高校生、大学生の年齢層は発症リスクが高い?
また、中学生や高校生、大学生くらいの思春期の若い年齢層は、進学や進級、喫煙、飲酒、夜更かし、恋愛、身体成長、就職などの要因によって、生活環境や生活習慣が大きく変化しやすい時期です。
この環境変化によるストレスの大きさが、統合失調症になる原因の一因となっている可能性が考えられています。
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統合失調症は遺伝するのか?
家族に統合失調症の人がいる場合、中には「遺伝的な要因があるのではないか」と思い悩んでしまう人がいます。
統合失調症は、何らかの遺伝子が関わっていると考えられていますが、原因となる遺伝子が特定されているような「生まれ持った性質」とまでは言えません。
統合失調症の親から生まれた子どもが、同じように統合失調症を発症する率は、10%程度といわれています。
統合失調症は、一般人口の中では0.7〜0.8%に生じる病気なので、遺伝の影響を完全には否定できません。
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しかし、遺伝子情報が同じ双子の場合、一人が統合失調症を発症していると、もう一人が発症する確率は40〜50%とされているので、すべてを遺伝で説明できるわけでもありません。
統合失調症が単なる遺伝的なものなら、双子の場合は100%の割合で発症するはずです。
このことからも、遺伝的要因以外の原因も大きく影響していることが考えられ、統合失調症が「遺伝による疾患」とは簡単にいえないことがわかります。
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統合失調症になりやすい年齢は?【まとめ】
・10代後半から20代にかけて統合失調症になりやすい
・統合失調症は、子どもから大人にわたって幅広い年齢層で発症する可能性がある疾患
・男性は10代後半から20代にかけて発症する例が多い
・女性は20代から30代はじめに発症する例が多い
・若い世代は、進学、進級、喫煙、飲酒、恋愛、成長、就職などの、大きな環境の変化をともなう出来事が多く、これらのライフイベントが統合失調症という病気の原因に関係している可能性がある。
・統合失調症は遺伝子と関係はあるが、必ず遺伝するようなものではない
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◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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