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幻覚や幻聴、妄想への接し方はどうすればいい?統合失調症の対応

幻覚、妄想、幻聴などの統合失調症の各症状は、家族やまわりの人には理解しづらいものです。

「本人はつらい気持ち」というところに共感しつつ、統合失調症という病気の症状であることを理解していきましょう。

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幻覚や幻聴は対象のない知覚であり、妄想は修正不能な確信ともいわれています。

周囲の人にとっては理解しづらい症状ですが、本人にとっては幻覚も幻聴も妄想も「実感、実態があるもの」として感じているのです。

幻覚や幻想、妄想は、ほとんどの場合、統合失調症の患者本人にとっては不快なものです。

本人がつらい思いをしていることを理解して、その気持ちに共感することが大切です。

気持ちに寄り添いながら、それが病的な症状であることを理解させていきましょう。

そのうえで、これらの症状には薬がよく効くことを伝え、症状を抑える薬を服薬することに同意してもらうことも大切です。

認知行動療法としての対応 | 幻聴・幻覚への接し方

また、幻覚や幻聴などの症状に対して、認知行動療法的な関わりをすることも効果的な方法です。

例えば「壁の向こうに誰か潜んでいる」と訴えるときには、一緒に壁の向こうに行ってみて誰もいないことを本人と一緒に確認する、などです。

また、音楽を聴く、歌を歌ってみる、など幻覚から遠ざかれる方法を試し、効果的な行動をすすめてみるのもいいでしょう。

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興奮状態に対する対処方法は?

統合失調症の患者の興奮状態にどう対処すればいいのか分からない、という声をよく聞きます。

これについては、本人が落ち着いているときに「興奮して周囲に迷惑をかけない」ということを約束し合っておくと効果的です。

まずは、興奮状態を起こさないように、日頃から服薬や関わり方を確認しておくことが重要です。

薬を飲んでいないことがわかったら、本人とよく話し合い、服薬の同意を得るようにしましょう。

また、落ち着いているときに「もし具合が悪くなっても、ものを壊したり、暴力を振るったりしません」ということを約束してもらい、紙に書いてみえるところに貼っておくという方法もあります。

興奮状態に陥りそうなとき、その約束を一緒に読み上げて落ち着きを取り戻すこともできます。

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近所や知り合いの家に怒鳴り込んだり、電話をかけるような時は、周囲にも本人の病状を説明しておくことで、誤解を防ぐことができます。

本人や家族の安全が脅かされるような事態に陥った時は、知り合いの応援や警察を呼ぶなど、臨機応変な行動が必要になります。

助けを呼ぶことや、警察を呼ぶことに対して、家族は抵抗を感じるかもしれませんが、安全を確保するために必要な場合もあります。

そのことで患者本人が家族を恨むようなことは少なく、興奮がおさまった後に「家族に悪いことをした」と振り返り反省する人が多いです。

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興奮する前にしておきたいこと

・興奮状態をおこさせないために、普段から服薬状態を確認しておく
・近所や知り合いなどに、本人の病状を伝えておき、誤解の内容にしておく
・「もし具合が悪くなっても、ものを壊さない、暴力をふるわない」と約束して紙に書いておく。その紙を見える場所に貼っておく

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興奮状態のときにすること

・約束の書いた紙の内容を一緒に読み上げ、約束したことを思い出させる
・本人や家族の安全が脅かされる時は、迷わずに知り合いや警察を呼ぶ

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◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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