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親の育て方が悪いと「統合失調症」の原因になるの?

精神病、精神分裂病と呼ばれていた「統合失調症」の原因は、現在においても研究がすすめられています。

その統合失調症の原因として、よく言われているのが「親の育て方が悪かったから」ということがあります。

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統合失調症を発症することと、親の育て方、どんな風に育てられたか、どんなコミュニケーションをとってきたのか、は何か関係があるのでしょうか。

今回は、統合失調症と親の育て方の関係について考えてみましょう。

統合失調症を発症することと、親の育て方・接し方との関係は?

統合失調症の患者の家族の中には、「父親として母親としての子どもの育て方が悪かったから、病気になってしまったのではないか」と悩まれる人も少なくありません。

統合失調症を発症する原因は、現在ではまだはっきりと解明されていませんが、その人の持つ先天的な体質やストレスに対抗する力、脳の特性などが関わっているのではないかと考えられています。

ですので「育て方が悪かったから統合失調症の病気になった」ということではありません。

統合失調症は、ハッキリとした原因は分かっていませんが、身体や脳に何かの原因があって引き起こされるのではないか、と考えられているのが主流です。

子どもの育て方・接し方が原因になって、統合失調症の病気を発症するわけではありません。

統合失調症の患者の家族として、自分のことを責めたり、父親や母親を責めたりすることがないようにしてください。

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統合失調症の人にどう関わればいい?対応方法について

統合失調症の患者の家族として、統合失調症になった原因についてあれこれ悩むよりも、病気を受け入れ、今の段階で家族が何ができるのかを考えることが第一です。

患者本人に対する家族の接し方・コミュニケーションは、病気の回復に大きな影響を与えます。

子どもの育て方に責任を感じて腫れ物に触るように接してしまうのは、本人にとっても病気の克服にとってもあまりよいことではありません。

・叱りすぎたから
・放任しすぎ、ほったらかしにしすぎたから
・あのとき、ああしていればよかったかも
と悩まれる人が多いのですが、統合失調症という病気の発症と「育て方」には直接の関係はありません。

統合失調症の原因は、その人が生まれつき持っている脳の特性やストレスに弱い体質が関わっていると考えられています。

「親の育て方が悪かったから」ということを原因と考えて思い悩む必要はありません。

次のようなコミュニケーションは、統合失調症の本人にとって、病気の回復、治療、克服にとってはあまりいい影響を与えません。

・必要以上に甘やかす
・気持ちの問題として厳しくしすぎる
・腫れ物にさわるように接する

原因探しをするよりも、これからの病気の治療・快復のために、まずは病気を冷静に受け止め、症状に対応する方法や、統合失調症の特徴に対する適切な対応をとることの方が大切です。

◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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