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【チックの心理的治療】ハビットリバーサルと逆説志向とは?

「しないではいられない」という衝動のあるチックや強迫症状に対しては、積極的に行動を変えていこうとする行動療法が効果を上げる場合もあります。

行動療法がチックの治療に有効な場合も

行動療法とは、心理的治療の一種です。

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本人に自分の行動を意識させ、それをより適切な行動に変えていけるように練習を積み重ねていくものです。

慢性的なチックや、チックをともなう強迫症状の改善に効果があると期待されています。

一方で、チックを強く意識することで、かえって悪化する心配もあります。

無意識のうちにくり返される軽いチックの治療に向く方法とはいえないでしょう。

強迫症状についても、やり方を誤れば不安を克服できずに挫折するおそれもあります。

いずれも治療者の指導を受けながら、計画的に進めていくことが大切です。

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ハビットリバーサルとは?

ハビットリバーサルとは、チックをしたくなったとき、それとは逆の動作をするように訓練することで、チックを減少させようとする行動療法です。

チックの変化を自分で観察するセルフ・モニタリングを追加することで、よりいっそう効果が高まるとされています。

チックの回数が減った場合には、周囲がかならずほめるようにすることが訓練の励みになります。

(例)
まばたきをひんぱんにくり返すチックがある。
↓↓↓
しばらくの間、一点を凝視して、まばたきをしないように意識する。1日に何度かおこなう。

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曝露反応妨害法とは

行動療法のひとつで、やめたいと思っても、不安な気持ちがおさまらずくり返ししてしまう強迫症状の治療に有効です。

①曝露

「ものにさわったから手が汚い」などと、あえて不安を感じる状態をつくり、不安の中に身をさらす。
【理論分析する】
その行動をしないと不安がずっと続くと思い込んでいた。しかし、すぐに不安を消す行動をしてきたことで、より不安を感じやすくなり、行動したいという衝動が強まっている。

②反応妨害

不安な気持ちに反応して生じる「手を洗いたい(〜したい)」という衝動に逆らい、行動に移さずに過ごす。

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③経過をみる

不安は続くが、そのまま不安を消す行動をしないでても、やがて不安はおさまっていく。それまで行動せずに我慢する。

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パブリックポスティング法

パブリックポスティング法とは、「〜ない」「〜する」などと、取り決めたことを紙に書き、よくみえるところに張り出しておく方法です。

衝動に逆らい、チック治療のための行動をとりやすくするアプローチ方法になります。

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トゥレット症候群の入院治療

トゥレット症候群のような重症のチックでも、入院治療が必要になることはほとんどありません。

しかし、自傷行為が激しい場合や、共存する強迫症状が悪化し、日常生活に大きな支障が出ている場合など、家庭での対応が難しくなっている場合には、入院での治療を考えることがあります。

治療法自体は、通院しながら受けるものと大きく異なるところはありません。

ただし、家族が止めようとしてもまったく耳を貸さず、一日中、強迫行為を続けている子どもなどは、家庭よりも病院のほうが行為制限をおこないやすく、治療もすすめやすいでしょう。

また、子どもの症状に巻き込まれ、疲労困憊している家族がゆとりを取り戻すためにも、入院によって親子が物理的には慣れる時間をつくることには意味があります。

家族の状況によっては、家族関係の安定化はかるために入院を検討したほうがよいこともあります。

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