支持的精神療法・認知行動療法・SST・デイケアとは | 統合失調症の心理的治療
統合失調症の治療は、薬による薬物療法だけですすめられるものではありません。
薬物療法に加えて、薬を使わない「心理的治療」がとても重要な役割を果たすことがあります。
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日常生活の中で精神にストレスがかかる状況に陥った時、上手なストレス回避の方法を学んでいればうまく対処できるようになり、統合失調症の症状の重症化を防げるからです。
心理的治療には、支持的精神療法、認知行動療法、SST(社会生活訓練)、デイケアなどがあります。
支持的精神療法とは
統合失調症の患者は幻覚や幻聴、妄想に追われて、不安定な心理状態で生活しています。
その不安感や恐怖感は、周りの人と共有することができないために孤独感が高まりやすいのです。
そんな中で、患者の気持ちに共感しながら話を聞くのが「支持的精神療法」です。
支持的精神療法の流れ
幻覚・妄想に追われた不安な心理状態
↓
他者と共有できないため孤独感が増す
↓
患者の悩みを聞き、その悩みを受け入れる
↓
共感・助言・指導
(安心感が得られる)
認知行動療法とは
認知行動療法は「謝った認知」を修正していく方法です。
まず、症状が出現する「引き金」となる事柄をみつけ、その事柄に対する見方や感情・行動内容を検討します。
そして、不適切な反応をしていることを理解して、行動を修正していきます。
認知行動療法の流れ
何らかの出来事
↓
謝った認知
↓
謝った行動 or 不安感、絶望感、孤独感など
認知に誤りがなかったかどうかを遣唐使、行動を修正していく
精神病でよく聞く「デイケア」とは
統合失調症になると、学校や仕事を一時的に中断しなければならないこともあります。
そのような時、社会復帰の一助としてデイケアへの参加が勧められることがあります。
デイケアは、精神病の外来治療と並行して日中の時間帯に様々な活動を行う治療の場でもあります。
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昼間の時間帯に作業療法や集団の中で認知訓練を行うことで、作業への集中力や自主性を高めたり、人間関係の築き方を学んだりする場です。
患者本人がデイケアに参加して、よりよい生活を送る訓練をして、社会復帰へとつなげていく場として活用されています。
デイケアに参加することで、規則正しい生活リズムをつくることができるようになったり、様々な活動を通して集中力高めたり、人間関係を築いていく練習をしたりすることができます。
また、本人と家族とが離れる時間を持つことで、お互いのストレス軽減につながることもあります。
デイケアの活動内容は広範囲にわたり、料理、絵画、工作、合唱、カラオケ、スポーツ、園芸、パソコン教室などいろいろなものがあります。
活動そのものがストレスの原因となってしまわないよう、無理のない範囲で自主的に取り組むことが症状の回復へとつながります。
デイケアのメリット
・規則正しい生活リズムになる
・仲間と共同作業することで協調性が養える
・社会復帰のための体力作りと作業能力の向上ができる
社会生活訓練(SST)とは
SST(ソーシャル・スキル・トレーニング=社会生活技能訓練)は、社会生活を送る上で必要な能力を、ロールプレイ(模擬練習)などを行い、改善・発達させていく治療方法です。
「生活技術が低い」「対人コミュニケーションが苦手」「就労能力の不足」「心理的に安定性に欠ける」「生きがいの喪失」といった問題を解消していくことを目標にします。
今はどんな対人状況なのか、どんな行動とればいいのか、その場で期待されている行動は何か、相手が自分いい抱いている感情はどんなものか、をできるだけ正確に把握し、適切な行動がとれるように練習していきます。
具体的には、日常生活で困ったことを問題提起して、その場面を想定したシナリオを実際にロールプレイします。
そのロールプレイのときの対応の仕方をグループ内でほめ合う中で、よりよい行動を見つけていきます。
◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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