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統合失調症は完治する?治る?治癒するの?

どんな病気であっても「いつ治るのか」ということが誰でも気になります。

統合失調症の患者本人や家族も「統合失調症は完治するのか、いつ治るのか」と気になるのが当然です。

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統合失調症の治療の診察の場面で、患者本人が医師によく質問するのは「いつになったら治るのですか」という内容だそうです。

「治療のゴール設定をしたくなる気持ちは誰にでもあるのですが、どんな状態をもって「統合失調症が治った」とするかは、人それぞれの考え方や生き方による」とある統合失調症の専門医は言います。

多くの患者本人は「統合失調症の病気になる前の状態に完全に戻ること」をイメージしているかもしれません。

「統合失調症にならなかったら、有名大学に合格して、一流企業に就職していたかもしれない」と考えていることあるでしょう。

しかし「病気から回復して本人の満足する充実した社会生活を送ることが可能になっていれば、治ったといえるはず」と考える専門医も少なくないそうです。

病気にならなかった人生では得られなかったものを病気になったことで得ることもあり、大切なのは、日々の暮らしにどれだけ満足できているかということ、ということでしょう。

統合失調症が完治した、治癒した、治った、という治療のゴールは、その人の考え方次第と言えそうです。

「治る」とは、病気になる前の状態に完全に戻ることだけではありません。

病気にならなかったら、今よりもよい生活をしていたかもしれませんが、病気になる前の生活と同じではなくても、症状にとらわれず、心豊かな日常生活を過ごせるように「回復」を目指していくことが大切ということです。

重要なのは、日々の暮らしにどれだけ満足できるかということですね。

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統合失調症の治癒へのキーワード | レジリアンス・コーピング・リカバリー

統合失調症を治療していくためには、薬や精神科リハビリテーションが大変有用です。

近年、それらに加えて、患者自身が持つ「回復しようとする力」をより前向きにとらえようとする考え方が注目されています。

そのキーワードとなるのは、レジリアンス(復元能力)、コーピング(対処行動)、リカバリー(回復)の3つです。

レジリアンス(レジエンス)とは?

レジリアンス(復元力)とは、物体を曲げたときに元に戻ろうとする力のことを言います。

ストレスへの弱さといったマイナス面ではなく、本人の持つ回復力・復元力といったプラス面を強化しようという考え方です。

自尊心や、物事を自分でコントロールできていると感じる力が高い人ほど、自然に回復しようとする力が強いといえます。

レジリアンスを強化することで、病気の治癒や再発予防につなげることができます。

コービングとは?

コーピング(対処行動)とは、人は何らかのストレスを受けたとき、ごく自然にそれを解消回復しようとする行動をとっていることをいいます。

姿勢を変える、レジャーで気分転換する、注意をそらす、リラックスする、眠る、運動する、などといった行動があたります。

リカバリーとは?

リカバリー(回復)とは、障害に適応し、自立を実感する主観的プロセスを指します。

障害を自分の一部として認め、前向きに自信を持って自己決定していくことです。

患者さん本人は回復を信じて、周囲は回復しようとする患者さんを励まし協力することが大切です。

そのことによって、障害をかかえながらも自己肯定的な気持ちを持つことができるようになります。

◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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