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境界性人格障害の診断は本人に告知されるもの?それとも家族?

境界性人格障害と診断された場合、病名は本人に告知されるものなのでしょうか。

それとも本人には直接伝えることはなく、家族に告知されるものなのでしょうか。

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境界性人格障害の診断と告知について

境界性人格障害の病気の診断や告知は慎重に行われるのが一般的です。

境界性人格障害の治療は、まず専門医が正しく診断し、患者本人に告知することから始まります。

ただ、境界性人格障害の診断はそう簡単なものではなく、告知の仕方もいろいろあります。

境界性人格障害と似た症状を持つ病気が多い

境界性人格障害は多様な症状があり、その症状が他の病気と重なるところもあります。

また、人によっては、境界性人格障害と別に精神病を同時に患っていると診断される場合も多くあります。

10個のタイプに分類されるパーソナリティ障害のうち、 境界性パーソナリティ障害と共通点が多いものがあります。

・常に他人の関心を引こうとする演技性
・他人は自分のために存在するという態度の自己愛性
・衝動性や攻撃性が強い反社会性
・一人でいることができない依存症のパーソナリティ障害

いつも自分のことばかりで、 他人に目が向かない自己愛性パーソナリティ障害は、境界性人格障害と似た部分が特に多いのです。

境界性人格障害とうつ病との関連

抑うつ症状や自殺のおそれなど、共通する症状が多く見られます。

実際、境界性人格障害の半数はうつ病の診断も受けているといわれます。

ただ境界性人格障害の人の場合、抑うつ状態が続く期間が短いことや、自分を責める気持ちより、怒りや不安などの感情が目立つといった違いがあります。

統合失調症との関連

対人関係がうまくいかないときなど、境界性人格障害の人は妄想に近い思い込みをすることがあります。

ただ、統合失調症のようなおよそ現実味のない妄想とは異なります。

発達障害との関連

アスペルガー症候群やADHDなどの発達障害は、衝動性が強いという特性や、対人関係でトラブルを抱えやすいという点で共通しています。

発達障害を併せ持っている場合は、境界性人格障害の治療よりそれぞれの特性に合わせた働きかけをしていくほうがよいと考えられています。

境界性人格障害の診断に長い時間がかかることも

精神科や心療内科での専門医であっても、患者本人の現在の状態をチェックするだけでなく、時間の流れの中での変化も見なければ、正確な境界性人格障害の診断は下せません。

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そのため、診断が出るまでに数回の面接、面談を要するのが一般的です。

場合によっては、家族に立ち会ってもらったり、心理テスト行ったりすることもあります。

CT検査で、他の病気の可能性を確かめる場合もあり、なかなか診断がつかないこともあります。

境界性人格障害の病名の告知

境界性人格障害と診断される多くの場合、患者さん本人にも病名を告げられます。

ただし、患者本人の状態によっては、病名そのものを直接伝えないという病院やクリニックもあります。

告知の目的

患者さん自身が、自分が直面している問題を自覚し、積極的に治療に立ち向かえるようにする。

告知の仕方

病名だけを伝えるのではなく、患者さんが今どんな状態にあるのかを伝える

告知への反応

問題が明確になったと感じる人、心の動揺が激しくなりすぐには受け入れられない人など反応はさまざまです。

境界性パーソナリティ障害の診断基準

対人関係、自己像、感情が不安定及び著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力
注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと。
(2)現実家とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式
(3)同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感
(4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、無茶食い)
注;基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為の繰り返しは含めない
(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し
(6)顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2〜3時間持続し、2〜3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)
(7)慢性的な空虚感
(8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)
(9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状

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◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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