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境界性人格障害の治療の進め方と心理教育について

境界性人格障害の治療はどのように進められるのでしょうか。

また、治療において重要となる心理教育とはどのようなものなのでしょうか。

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境界性人格障害の本人が「治したい」という気持ちが大切

「医師に治してもらう」という気持ちでは、境界性人格障害の治療はうまくいきません。

患者さん本人が「治したい」という気持ちを持って取り組むことが必要です。

そのためには、心理教育を受けて「治したい」気持ちを高めることもあります。

正しい知識を持つ

患者さん本人やその家族に、障害についての正しい知識を伝え、治療者とともに適切な対処法を考えていけるようにすることを心理教育といいます。

心理教育を受ける

心理教育の重要性が、統合失調症の患者さんと家族に向けた取り組みの中で認識されるようになった。
境界性人格障害の治療でも同じことが言える。

×【知識がないまま】
治療がうまく進まない恐れが高い。
「先生が治してくれる」と頼りきり、治療が思うように進まないと自暴自棄になったり、治療をやめてしまうことも。家族の対応の仕方が、病状の悪化につながるおそれもある。

○【正しい知識を持つ】
治療の動機がハッキリする
自分自身の問題であるることを自覚する。そうすることで、自ら治したいと思い、治療に取り組む姿勢ができる。家族も正しい理解をすれば適切な対応をとれるように。

境界性人格障害について、本人の理解を深めること

境界性人格障害の患者本人の悩みはさまざまですが、背後にある境界性人格障害という病気について、本人がきちんと理解しておく必要があります。

「この人ならなんとかしてくれる」と医師を理想化したり、「薬さえあれば」と薬物療法に依存したりするだけでは、根本的な回復に結びつかないからです。

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人間関係で問題を抱えやすい特徴が、医師をはじめとする治療スタッフとの間に現れることもあります。

治療を続けるためには、治療のルールを守る必要があり、治療の約束事についてあらかじめ医師と話し合うことも大切です。

境界性人格障害の治療の流れ

境界性人格障害の診断

病名の告知

心理教育(スタート時の話し合い)

事前に理解しておきたいこと

治療時期にあたって「心理教育」として特別な時間を設けるわけではありませんが、医師との面接を通して、必要な話し合いをしていきます。

治療がいやになり、病院から飛び出してしまうことも。

話し合いの内容

現状の正しい認識

境界性人格障害の人は、ささいなことで感情が大きく揺れ動き、見捨てられ不安を感じやすい状態であることを理解すること。

そのうえで現在直面している問題を明らかにする。

治療目標の設定

現状を正しく理解した上で、具体的な治療目標を設定すること。

例えば、
・リストカットや過量服薬をしない
・家族への暴力をやめる
・学校に通えるようにする
・アルバイトをはじめる

「限界」の設定

今からはじめようとしている境界性人格障害の治療を続けるために、最低限、患者本人に守ってもらう条件を主治医との間で決めておく。

不適切な行動が見られた場合、治療の中断や、外来での治療から入院への治療に切り替えるなど、治療方法の変更もおこりえます。

治療開始

目標に向けて取り組む。

具体的な目標を持ち、境界性人格障害の治療の見通しを立てることで「治そう」という気持ちを高め維持していく。

◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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