境界性人格障害の人がいる職場の周りの人の対応方法と対策について
境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人は、仕事先や職場での人間関係でトラブルを起こしてしまうことがよくあります。
会社・職場において、境界性人格障害(ボーダーライン)のまわりの人は、どのような点に注意して対応し、対策を準備すればいいのでしょうか。
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人間関係のトラブルを防ぐ【境界性人格障害・会社&職場の対応】
会社などの複数の人間が関わる空間では、境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人に周囲の人たちが巻き込まれるようにして、職場内で人間関係の対立が生じることがあります。
職場での人間関係がこじれてしまう、仕事に支障が出てくる、会社に行くのがストレスになるなど、境界性人格障害(ボーダーライン)本人にとっても周りの人にとっても、しんどくてつらい状況になってしまうことも少なくありません。
まず最初に大切なポイントは、会社内での規則や決まりごと、職場でのルールをはっきりさせることが、境界性人格障害(ボーダーライン)のトラブル防止につながります。
境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人の、職場の周りの人が巻き込まれなように気をつけたいものです。「なぜ、境界性人格障害の人はまわりの人を巻き込むのか」については下の記事でポイントをまとめてみました。対応時の参考にしてみてください。
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→なぜ、境界性人格障害は周りの人を巻き込むのか?原因と理由について
職場で一貫した対応をとる
境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)に代表されるように、パーソナリティに未熟なところがある人でも、職場の環境次第で大きな問題を起こすことなく適応し、普通に仕事をできる場合もあります。
事務処理能力など仕事スキルにおいては、境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人であっても普通に、場合によっては平均以上の能力を発揮できる例も少なくありません。
逆にいえば、境界性人格障害の人をめぐって問題が起きる職場には、混乱をまねいてしまう原因があったともいえます。もちろん「そもそもの原因は境界性人格障害の人だ」と多くの職場の周りの人は感じると思います。
ただ「境界性人格障害の人が悪い」「原因はボーダーラインのあの人だ」と周りの人が言ったところで、問題状況は改善しませんし、境界性人格障害の人を興奮させてしまい、状況がさらに悪化することも考えられます。
大切なのは、職場で守るべき決まりをきちんと取り決め、境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人に対して、会社全体で一貫した対応をとっていくことです。
特に何の決まりのないまま、その場その場で対応していこうとすると、境界性人格障害の人はまますます不安定になってしまい、周囲を巻き込むようなトラブルを起こすおそれがあります。
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相談は親身になりすぎず、程よい距離感を保つこと
境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人は、「この人は分かってくれる」と一度思ったら、どこまでも頼ろうとする依存的な傾向があります。
「いつでも相談して」などと安請け合いは、誰もためにもなりませんので注意しましょう。
境界性人格障害(ボーダーライン人格障害)の人は、恋愛依存に陥りやすい傾向もあり、社内での恋愛問題や不倫トラブルも少なくないようです。下の記事で「境界性人格障害の恋愛依存・セックス依存(性依存)」についてまとめておいたので参考にしていただければと思います。
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→境界性人格障害の恋愛関係、セックス依存について、何を考えているのか?
職場でのトラブルの流れ例
【相談にのる】
患者さんは、相手が深い共感や期待通りの反応を示してくれたと感じると・・・
↓
【相談がエスカレートする】
どんなことでも相談できる相手と思い込み、昼夜を問わず、メールや電話をしてしまう
↓
【引きずり込まれる】
患者さんの怒りや不満の感情がうつってしまう
↓
【相談相手が一緒になって不満を言い始める】
↓
【職場の混乱になる】
周りの人が「相手にできない」「かかえきれない」「つきあいきれない」と思い、相談にのらなくなると、相談相手への激しい攻撃が始まるのも境界性人格障害(ボーダーライン)の困った特徴です。
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職場の混乱を防ぐポイント
境界性人格障害(ボーダーライン)に人がいる職場において、一番大切なのは「基本的なルールを決めておくこと」です。
会社内・職場内において、最低限のルールを守らなければならないことをはっきりさせておきましょう。
上司の命令には従う
職務内容をきちんと知らせ、命令や指示を守らせることで、不安や動揺を引き起こすような事態を避ける。
公私混同しない
相談は職務に関する内容のみに限る。
プライベートな相談はしない、のらないという原則を徹底する。
相談してもいい日時を決める
「何曜日の何時から何時まで」など、日時を区切って相談を受け付ける
就業規則を守る
職場の決まりを示し、それを守るように徹底させる。
安定した枠組みがあった方が、境界性人格障害(ボーダーライン)の人は適応しやすい。
常識的なことも明文化する
就業規則はもちろん、部内での取り決めなども明文化しておくことで「いった、いわない」といった決着しにくい争いを防ぐことができます。
職場の上司が境界性人格障害の場合
問題を起こしやすい部下であっても、きちんと管理するのが上司の役目ですが、そうはいかず、職場の混乱を治められないことがあります。
また、部下ではなく上司の方がトラブルを起こしやすい未熟なパーソナリティを持つと考えられる場合もあります。
上司が境界性人格障害(ボーダーライン)かもしれない、という場合には、さらに上の立場の人や産業カウンセラーなどに相談してみましょう。
職場での人間関係問題は、仕事自体に影響が出てしまうおそれもあるので、早めの対策が望まれます。
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◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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