LD(学習障害)の原因、男女比は?
LD(学習障害)などの発達障害の子供をもつ親の多くは、子供の育て方が悪かったのではないだろうか、環境が悪影響を与えたのでは、と自分たちのことを責めてしまい、思い悩んでしまう人も少なくありません。
LD(学習障害)の男女比について
実は、LD(学習障害)だけでなく、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症などの発達障害は、女の子よりも男の子の方が発症率が高いことがわかっています。
スポンサーリンク
また、LD(学習障害)に関していえば、男の子の方が女の子より約4倍多いというデータもあります。
LD(学習障害)になる原因や仕組みには、子供が生まれたときの体重や体質などが関係するともいわれていますが、現在ではまだはっきりとした結論は出ていません。
いずれにしても、LD(学習障害)などの発達障害は、子供の育て方や環境が原因になるものではありません。
LD(学習障害)の原因は、脳の障害によるもの
私たちは、脳の働きによって物事を認識しています。
脳のネットワークは非常に複雑で、また微妙なバランスの上に成り立っています。
LD(学習障害)では、この脳の働きに、ごく小さな障害が生じていると考えられています。
中枢神経に何らかのトラブルがある
中枢神経とは、脳とそこからつながる脊椎など、身体の各部位の働きをコントロールする司令塔にあたります。
LD(学習障害)などの発達障害では、中枢神経に、画像検査やその他の精密検査ではとらえられないほどの小さな不具合が生じているというのが一般的な説です。
外からの刺激、情報を処理するしくみに障害があらわれる
情報を取り入れ、判断し、適した行動を起こすまでのどこかに不具合があると、判断ミス、不適切な行動となってしまいます。
スポンサーリンク
不具合がどの部分にあるかによって、苦手なことが異なります。
・ものの形を把握するのが苦手
空間を把握したり、ものを立体的に描き出すのに時間がかかったり、不正確になる。
・見間違い、聞き間違いが多い
似た文字を見間違えたり、聞き間違い、聞き漏らしが目だつ
・推測、推理が苦手
目に見える事実と事実の間をつないで、自分なりの推論を立てられない
・記憶が苦手
ある特定の分野で暗記ができないなど、記憶力にかたよりが出る
学習の困難(学習障害)はいろいろな形で現れる
基本的な学習能力に多少の困難が出てくる
外からの刺激の受けとり方に極端なかたよりがあると、学校で集団で学ぶときに、周りの子供との間に差が出てきます。
各教科で学力が伸びにくくなる
書く力、読む力など、基本的な学習に必要な能力にかたよりがあると、教科全体に影響が及びます。
また、教科によって得意、不得意が大きく分かれる子供もいます。
学校生活に馴染めないなどの問題も出てくる
学力が伸びないと自信が持てず、自尊心が育ちにくくなります。
また、行動面でのトラブルがあると、友達から孤立したり、いじめを受けるなどの二次的な問題が生じてきます。
原因を探すより対応を考える方が大切
LD(学習障害)の子供を持つ親の中には、必要以上に自分の子育てを責めたり、原因を探すのに一生懸命になりドクターショッピングをする人もいます。
ですが、はっきりとわからない原因を探しても時間を無駄にするだけでいいことはありません。
子供の特性を理解し、適切な支援をすることが何より大切になります。
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授である上野一彦先生執筆・監修の「LD(学習障害)のすべてがわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
スポンサーリンク