適応障害との違いは?うつ・睡眠障害・非定型うつ病・不安神経症
医療現場では、いずれの病気の診断基準も満たさない場合、病名ではなく、症状や状態を現す名称を診断名にすることがあります。
精神疾患・精神病の領域において、このようなときの診断は、ほぼ適応障害と考えていいといわれています。
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次のような症状、状態の場合は、適応障害と診断されることが多いようです。
うつ状態
うつ状態は病名としては正確ではありませんが、気分が落ち込んで抑うつ状態が強く、社会生活に支障が出ている場合を意味します。
実際には、うつ状態の治療も行うし、診断書に「うつ状態」と記入することもあります。
うつ状態の症状としては、気力がない、意欲がない、やる気が出ない、気持ちが落ち込んで悲しい、といったものがあります。
睡眠障害(不眠症)
よく眠れない、と不眠を訴える精神疾患の種類は多いのが実状です。
睡眠障害とは、不眠以外の他の症状が強くなく、眠れない、眠りすぎる、眠る時間がずれている、など睡眠の問題で生活に支障がでているという「状態」を示す場合に診断されます。
「また今日も眠れないのではないか」と不安になり、ますます眠れなくなる、といった悪循環がうまれやすい特徴があります。
非定型うつ病
非定型うつ病とは、従来のうつ病とは違うタイプの新型うつ病と位置づけられています。
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適応障害でも、ストレスとなる原因がないところでは、抑うつや不安感などがなくなることから、このような特徴に注目すると、非定型うつ病と診断されることがあります。
非定型うつ病の特徴のひとつに、ショッピングなど自分の好きなことは普通にできる、という点があげられます。
不安神経症・不安抑うつ発作・混合性不安抑うつ障害
わけもなく涙が出て、強い焦燥感や不安感から呼吸が苦しくなり、息切れ、めまい、動悸などに襲われることがあります。
人によってはリストカットのような自傷行為をすることもあったり、また、パニック発作にもよく似ている点もあり、発作が怖くて外出できなくなることもあります。
【まとめ】適応障害の様々な症状
以上のように、適応障害という精神疾患は、うつ状態、睡眠障害(不眠症)、新型うつ病(非定型うつ病)、不安神経症のような症状をすべてもっている病気だといえます。
ただし、うつ病と診断するほどまでは状態が悪化していなかったり、新型うつ病の診断基準は満たしていなかったりするときに、適応障害を診断されることが多いようです。
うつ病や非定型うつ病と診断されなかったからといって、何もせずに安心してほったらかしにしていては症状が悪化して重症化になるリスクもあります。
心当たりがある場合は、症状が悪化してしまう前に、早めに近くの病院で診察を受けて適切な治療を受けるようにしてください。
◆この記事は、医療法人和楽会理事長、貝谷久宣先生執筆・監修の「適応障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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