適応障害の診断基準とは?精神疾患の主な症状について
適応障害という病名は、いずれの症状も強くないが多彩で、ストレスに適応できない場合につけられる診断名といわれます。
実際には、ひとりの人を多面的にとらえて、適応障害かどうかを診断することになります。
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健康か病気かは、仕事・学校・家事などの社会的機能が保たれているか、実生活にどの程度の影響がでているかどうかによります。
適応障害の診断基準について(DSM-Ⅳ-TR)
A はっきりと確認できるストレス因子に反応して、そのストレス因子の始まりから3ヶ月以内に情緒面または行動面の症状が出現
B これらの症状や行動は臨床的に著しく、それは以下のどちらかによって裏付けられている
(1)そのストレス因子に暴露されたときに予測されるものをはるかに超える苦痛
(2)社会的または職業的(学業状の)機能の著しい障害
C ストレス関連性障害は他の特定のⅠ軸障害の基準を満たしていないし、既に存在しているⅠ軸障害またはⅡ軸障害の単なる悪化でもない。
D 症状は、死別反応を示すものではない
E そのストレス因子(またはその結果)がひとたび終結すると、症状がその後さらに6ヶ月以上持続することはない
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※Ⅰ軸、Ⅱ軸とは?
DSM(アメリカ精神医学会の診断基準)では、診断が偏らないように「多軸方式」をとっています。
「軸」とはグループのようなもので、ⅠからⅤまであります。
【Ⅰ軸】
Ⅱ軸以外の心の病気
【Ⅱ軸】
パーソナリティ障害と精神遅滞
【Ⅲ軸】
身体の病気
【Ⅳ軸】
心理社会的・環境問題の視点
【Ⅴ軸】
機能
適応障害の主な精神症状について
適応障害の精神症状は、抑うつ、不安、焦燥感(焦り)、過敏、混乱など多岐にわたります。
また、倦怠感、頭痛、腹痛などの身体症状や、遅刻、欠勤、犯罪などの行動面にも症状があらわれます。
しかし、これらいずれの症状も、適応障害に特有の症状というわけではありません。
医師は症状のみだけではなく、患者の病歴や環境面などを多面的に検討して診断します。
急性の適応障害と慢性の適応障害がありますが、その違いは、原因となるストレスからの発症の時期ではなく、症状が治まった期間により区別されます。
その目安になる期間は、6か月です。
また、経過中にどれかの症状が強くなれば、うつ病などの適応障害以外の他の病気が発症したと考えられる場合があります。
◆この記事は、医療法人和楽会理事長、貝谷久宣先生執筆・監修の「適応障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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