25 名にしおはば〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】

25 名にしおはば 逢坂山の さねかづら 人にしられで くるよしもがな 【三条右大臣】

読み方(なにしおはば あふさかやまの さねかづら ひとにしられで くるよしもがな)

出展「後撰和歌集」

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意味「25 名にしおはば〜」

「逢って」「一緒に寝る」という意味をもつ「逢坂山のさねかづら」。ならば、そのつるをたぐって引き寄せるように、他の人に知られず、こっそりとあの人に会う方法がないものだろうか。

作者:三条右大臣とは?

作者の三条右大臣(さんじょううだいじん)は、名前を藤原定方といい、第44番歌「逢ふことの」の作者:中納言朝忠(藤原朝忠)の父親にあたります。

平安時代初期の上流貴族で、家が京都の三条にあったことにちなんで、三条右大臣と呼ばれ、「三条右大臣集」があります。

また、和歌だけでなく、音楽など多分野でもすぐれた多才の持ち主だったといわれています。

解説「25 名にしおはば〜」

この歌は、人目を忍ぶ恋に苦しんでいる作者の切ない気持ちを詠んだ歌です。このように和歌は、五・七・五・七・七の三十一文字に、自分の気持ちと自然の様子の二つの世界を重ね合わせて表現されています。

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「名にしおはば」は「その名を持っているなら」という意味です。

上の句の「名にしおはば 逢坂山の さねかづら」は、結句の「くる」の序詞になっています。

「逢坂山」は「逢坂の関」がある山で、現在の京都と滋賀県の県境に位置します。

また、「逢坂山」は、地名と男女が「逢う」という二つの意味を持つ掛詞になっています。

「さねかづら」、樹液が整髪料の材料になったことから「びなんかづら」と呼ばれることもあります。また「さね」は、「さ寝(一緒に寝る)」との掛詞になっていますね。「かづら」はつる草の意味です。

「しられで」は「知られずに」の意味、「くる」は「来る」と「繰る(たぐる)」の掛詞になっています。

「な」から始まる三字決まりの歌

「な」から始まる歌は、百人一首の中で8首あります。その中の5首が「三字決まり」の歌になっています。

25 なにしおはば ー ひとにしられて
53 なげきつつ ー いかにひさしき
80 あきかぜに ー もれいづるつきの
84 ながらへば ー うしとみしよぞ
86 なげけとて ー かこちがおなる

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