適応障害の家族など周りの人の理解、対処、対応について
適応障害の人に対して、家族や友人、職場などの周りの人の理解は、病気の回復のために大切です。
周りの人は本人に対して、どのように対処したり対応したりすればいいのでしょうか。
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励ますよりも休ませること
適応障害の抑うつ症状がある人には、こころの休養が必要です。
本人は「休んでいられない」と罪悪感を持つかもしれませんが、しっかりと休んだ方が回復も早くなります。
適応障害は、ある意味で風邪のような病気といえます。
軽い抑うつ症状がある程度のうちにちゃんと休めば、重症なうつ病にならずにすみます。
家族やまわりの人は、励ましたり忠告したりするよりも、しばらく休学や休業をしても、心のエネルギーを回復させることが大切だ、と休養をすすめるようにしましょう。
ストレス因子に注意
適応障害の本人は、ストレスを自覚せずにがんばりすぎてしまうことがあります。
まわりの人は、ストレスがかかりそうな状況のときには、注意して本人がつぶれて病気になる前に休養をすすめましょう。
【環境の変化】
結婚、定年退職、就職、単身赴任、引っ越し、転校、独立、別居、騒音など
【経済的問題】
失業、借金、貧困、収入減少
【周囲の出来事】
家族の病気、ペットの死、犯罪の被害、災害、訴訟など
【本人の出来事】
病気、失恋、妊娠、出産、いじめ、けんか、事故など
【本人の様子の変化】
大きな環境の変化の後、次のような様子があったら「最近、元気ないね」などと声をかけるようにしましょう。
・ぼんやりしていることが多い
・ひとりでいたがる
・すぐに怒るようになった
・笑顔が減った
・仕事の能率が落ちる
・遅刻、欠勤が増える
・身だしなみに気をつかわなくなった
・食欲がなさそう
・食欲がありすぎる
・頭痛や嘔吐など体調が悪そう
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言ってはいけない言葉【適応障害】
相手を心配する気持ちからの言葉でも、本人を傷つけてしまうことがあります。
次のような言葉は、うつ病や適応障害の人には言わない方が望ましいといわれています。
・元気を出して
・がんばって
・甘えているんじゃない
・気持ちの問題だ
・温泉でも行ってきたら
・病気を治してから来い
・そんなに薬を飲んで大丈夫か
ただし、気分反応性や対人過敏性が顕著な非定型うつ病(新型うつ病)では、過剰に保護的になるより、少しは激励した方がいいとされています。
周りの人の対応で大切なことは、冷静かつ客観的な態度で接することです。
病気の回復に大切なのは本人の「治す気持ち」
病気を治すのは医師やカウンセラーではなく、本人です。
適応障害の場合も、正しい知識と広い視野を持つとともに、自分で直そうという意識が大切です。
マイナス思考をやめて、将来どのような自分になりたいかを想像し、そのイメージを実現するために具体的な手段を考えてみましょう。
・投げやりになっていないか
・誰かに頼ろうとしていないか
・誰かのせいだと思っていないか
ささいなことに傷つくのは、感受性が豊かだからともいえます。
その感受性をネガティブなものに向けるのではなく、ポジティブな方向へとむけていきましょう。
自責の念を持つことは、病気の回復にはプラスにはなりません。
後悔ではなく反省をして、次に活かせるように考えましょう。
病気になったのは親のせいだ、とまわりの人に対して怒りをぶつけるのはやめましょう。
誰かを責めたり、誰かに治してもらおうとしても、回復は望めません。
治療は自分が主体となって、絶対に治そう、という気持ちが大切です。
◆この記事は、医療法人和楽会理事長、貝谷久宣先生執筆・監修の「適応障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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