統合失調症の薬は一生飲み続けなければいけないのか?
統合失調症では、発症の早期に生じる不安や抑うつなどを軽減するため、症状を軽減するため、再発を予防するためなどの目的で薬が使用されます。
また、幻覚や妄想といった激しい症状を抑えるものから、抑うつ感や意欲の低下といった症状を軽くさせるものなど、さまざまな種類があります。
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それぞれの患者の症状や治療の段階によって薬の種類や量は異なってきます。
場合によっては、抗うつ薬など、他の種類の薬を用いて治療を進めることもありますし、統合失調症の薬を他の精神疾患や精神症状で使用することもあります。
薬を飲むのをやめたら、症状が悪化することも
統合失調症の薬物治療では、症状がよくなってきたら薬を減らしていくものです。
しかし、薬をやめたら状態が悪化したというケースもあり、一概に薬をやめることが良いことととはいえない場合もあります。
薬のおかげで症状が安定している場合は、適量の薬を飲み続けるというのもひとつの選択肢です。
通常、統合失調症の各病状が軽くなってきたら、徐々に薬の量を減らしていきます。
しかし、患者の状態を考慮して、再発予防のために飲み続けることもあります。
薬の種類を変えて欲しい、できれば薬を飲みたくない、いつまで飲み続けるのか、ということについては、統合失調症の患者によって個人差があるので、主治医や専門医に相談してから決めるようにしてください。
統合失調症の治療で使われる薬
・発症の早期に生じる不安や抑うつなどを軽減させるもの
・特有の症状を軽減させるもの
・再発を予防するもの
症状や治療の段階によって薬の種類や量はさまざま。
症状が軽くなれば薬は減らしていく傾向がある。
飲まない、飲みたくない、薬の使用を自己中断してしまわないために
統合失調症の治療の中で、服薬は重要な役割を果たしています。
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正しく薬を飲むことが、統合失調症の治療を進め、嫌な症状を軽減させる近道といえるでしょう。
薬を飲むことを自己中断してしまうことも
しかし中には、薬を飲むことを拒否して嫌がる統合失調症の患者さんもいます。
また、家族や周囲の人が精神科の薬に対して抵抗感を抱いているケースも多くあります。
周囲の人に「精神科の薬なんて飲まない方がいい」といわれて、医師の指示を守らずに勝手に薬を飲むことをやめてしまう人も珍しくありません。
患者さんが薬を嫌がるのは、症状に対する自覚が不十分、薬の副作用が気になるといったことが理由にあげられます。
統合失調症の治療薬に対する誤解を解くためには、薬を飲む必要性を十分に理解することが必要です。
薬を飲むことに不安がある時は、遠慮なく医師に相談し、納得した上で治療を続けることが大切です。
統合失調症の治療薬ってどんな薬なの?
私たちの普段の生活の中で、風邪をひいたときなど、薬を飲んで症状を治していくのが普通です。
それと同じように、統合失調症など精神疾患・精神病でも薬を使って治療をしていきます。
統合失調症の治療の薬物療法では、脳に作用する薬を処方されるのが通常です。
精神疾患では、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンと言った、脳内の神経伝達物質の働きがうまくいかないことが原因で、様々な症状が引き起こされることがわかっています。
脳内物質の働きを抑制したり、不足しているものを補うために、治療において薬が用いられるのです。
脳に作用するからといって、理由もなく怖がることはありません。
病院で医師が処方する薬は、何度も繰り返しテストして安全性が十分に確認されたものです。
イメージだけで怖がってしま、自分の判断だけで薬の使用をやめてしまうと、その後の症状に悪影響を及ぼすこともあるので、薬の服用は医師の指示で規則正しい服用をこころがけましょう。
◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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