家族の接し方は?統合失調症の患者本人への対応方法
統合失調症の回復には、患者本人にとって身近な家族の接し方、対応が大きく関わります。
家族がどう関わるか、どう接するかによっては、病気の再発をまねく原因となってしまうこともあります。
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孤独な患者本人にとっては、家族は自分を守ってくれる頼りになる存在なのです。
厳しすぎるのも過保護なのもよくない
しかし、中には、患者に対して非常に感情表出(EE)の高い家族がいます。
一部の症状を責めるような言動をとったり、逆に極端に過保護になって何でもしてあげるような家族です。
これを高EE家族と呼んでいます。
「あの子のせいでうちはもう大変なんです」と訴えたり、本人のつらい症状に理解を示さず「甘えている」などと責めるタイプ。
または、本人には何もさせず、過剰なまでに世話を焼いたり神仏にすがったりと、病気に巻き込まれてしまうタイプがあります。
高EE家族は、再発の可能性を高める原因となることがわかっています。
家族は、病気に関する本を読んで学習したり、家族教室に参加するなどして、医学的な視点で治療に必要なことを理解し、冷静に接することが大切です。
病気の再発の可能性を高めてしまう「高EE家族」とは
【責めたり、キビシくしすぎる、患者に対して感情表出の高い家族】
・お前は甘えている!
・ダラダラしていないで働きなさい!
【患者本人に極端に過保護な家族】
・具合が悪いなら寝てていいよ
・何もしなくていいよ
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本人が受診したがらない場合はどうすればいいか?
周囲の人が病気のかもしれない、と統合失調症の可能性を感じても、本人が受診したがらない場合はよくあります。
無理やりに精神科を受診させるのは本人にとって非常にストレスがかかることなので、できるだけ本人納得の上で早期に受診することが望ましいです。
身近にいる人(多くの場合は家族)が本人を病院に連れて行こうとしても、「受診しない」と本人がどうしても行きたがらないケースが多いものです。
その背景には、自分が病気であるという自覚がない、精神疾患への偏見や恐れの感情がある、精神科医療への理解が不十分などが考えられます。
家族は、本人を無理やり病院に連れて行くよりも、本人の「困っていること」を改善するために協力したい、という気持ちを伝えることが大切です。
例えば、夜よく眠れない、頭が重い、以前はできたことができなくなったなど、精神症状以外のことでも精神科で見てもらえることについて伝えるのもひとつの方法です。
また、本人は病院にいかず受診しないけど、家族だけが先に受診することもできます。
事前に、本人や家族が困っていることを医師に相談して話しておきます。
そして、本人のニーズを満たすような治療的な関わりが期待できることを伝え、受診につなげていくのもいいでしょう。
本人が受診したがらない理由とは?
・自分が病気という自覚がない
・精神疾患への偏見と恐れの気持ち
・精神科医療への理解が不十分
◆この記事は、東邦大学医学部精神神経医学講座主任教授、東邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンター長である水野雅文先生執筆・監修の「ササっと分かる統合失調症(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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