【社会不安障害の治療】エクスポージャーでトラウマを克服する
社会不安障害(あがり症)の治療方法のひとつに、エクスポージャーという方法があります。
エクスポージャーとは、苦手で不安を感じる状況や場面に対して、段階的に向き合っていくことで、不安や恐怖を減らしていく、認知行動療法の代表的な技法のひとつです。
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エクスポージャーとは?
社会不安障害(極度のあがり症)の人は、過去の失敗体験や恥ずかしい思いをした出来事に固執し、トラウマになっているケースが少なくありません。
その後、トラウマ体験となった場面と同じような状況や似ているシチュエーションに対して、逃げ出してしまう回避行動をとってしまいがちです。しかし、苦手で不安を感じる状況から逃げずに向き合うことも時には必要です。
回避行動をせずに、不安や恐怖を感じそうな場面、トラウマとなっている状況と向き合い、段階的に刺激にさらされる=暴露(エクスポージャー)されていくと、少しずつ不安や恐怖が軽減されていきます。
エクスポージャーは、臨床心理士の指導のもとに、苦手な状況から逃げずに向き合うことを繰り返す、認知行動療法の技法のひとつです。
何度も繰り返し続けていくことで、トラウマとなった苦手な状況やシチュエーションに慣れていき、逃げ出さなくてもいけるようになっていきます。
段階的にステップを踏みながらトラウマを克服していく
エクスポージャー(暴露療法)を行う際には、まずはじめに臨床心理士(カウンセラー)とクライアントの間で十分に話し合い、何についてのトラウマなのか、どんな状況やシチュエーションで不安や恐怖を感じるのかを振り返ります。
カウンセラーとの会話を通して、それまで考えもしなかったことに気づくこともあるかもしれませんし、その気づきがトラウマ克服のきっかけにもなります。
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そして次に、不安や恐怖を感じそうな場面、苦手で怖いと思う状況を具体的に書き出してリストアップしていきます。リストアップした状況における恐怖の度合いを検討し、程度の低いものから高いものへと並べて、段階的な課題表を作成します。
この段階的な課題表にそってエクスポージャー(暴露療法)を実行していきます。最初のステップは一番難易度のやさしい状況から始めます。不安や恐怖が生じてきますが、時間がたてば落ち着いた気持ちになってくる、という体験をすることができます。
このように、恐怖や不安を感じる場面を段階的に設定し、ステップをひとつずつ乗り越えていくうちに、不安や恐怖の程度、時間が軽減され、やがてトラウマを克服することができるようになるのです。
段階別課題表の例
・レベル①
電車やバスにひとりで乗る(2〜3駅)
・レベル②
銀行やコンビニのATMなどの列に並び順番を待つ
・レベル③
混雑している病院の待合室で順番を待つ(ひとりで)
・レベル④
長時間の特急電車や新幹線にひとりで乗る
・レベル⑤
ひとりでレストランに行き、注文して食事をする
・レベル⑥
友達の結婚式でスピーチをする
課題をひとつずつ実行してトラウマから解放していく
エクスポージャー(暴露療法)では、不安や恐怖を感じる場面を、怖いと感じる段階別に設定することから始まります。
そして、ひとつずつステップを踏み、不安や恐怖を感じそうなシチュエーションに慣れていきます。最初は不安や怖さを感じるかもしれませんが、自然にやわらいでいく、という経験を積み重ねていくことが大切です。
あせらず、なるべく短い期間で同じ課題を繰り返し、不安や恐怖がやわらいでいく、怖いと感じる時間が短くなっていくまで続け、次のステップへと進んでいきます。
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