89 玉の緒よ〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】
89 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの よわりもぞする 【式子内親王】
読み方(たまのをよ たえなばたえね ながらへば しのぶることの よわりもぞする)
出展「新古今和歌集」
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意味「89 玉の緒よ〜」
私の命よ、絶えるならこのまま絶えてほしい。このまま生き続けていると、恋をたえ忍んでいる気持ちが弱り、恋心が人目についてしまうかもしれないから。
作者:式子内親王とは?
この歌の作者の式子内親王(しょくしないしんのう)は、平安時代末期から鎌倉時代初期の女性歌人です。「しきし」と呼んだり、「しょくし」と呼んだりすることもあります。
式子内親王は、後白河天皇の第三皇女にあたり、10歳頃から10年間ほど賀茂神社の斎院(神に仕える未婚の皇女)としてすごし、その後出家して、生涯独身でした。
百人一首の第83番歌の作者:藤原俊成から歌を学びました。式子内親王の恋の相手は、俊成の子である藤原定家だったといわれています。
解説「89 玉の緒よ〜」
この歌は、「忍ぶる恋」というお題で詠んだ歌です。表に出すことができず、心のうちに秘めておくのが忍ぶる恋です。
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三句以降でははかない感じになっていて、二句では自分の命に対して強い口調で命令しています。恋の気持ちの強さをあらわしているのですね。
詠み手の式子内親王は、いわゆる巫女で生涯独身で過ごした女性です。そのため、本当に秘めた恋をしていたかどうか、についてはハッキリとはわかっていません。
「玉の緒」は、この歌では「魂の緒」になり、自分の命を真珠の首飾りにたとえてあらわしています。
「絶え」「ながらへ」「弱り」は、「緒」の縁語になります。
「絶えねば絶えね」は、「絶えるなら、絶えてしまいなさい」という意味です。
「ながらへば」は、「もしこのまま生き長らえるのであれば」という意味です。
「忍ぶることの 弱りもぞする」は、「自分の気持ちを秘めて、じっとがまんしている心が弱ってしまうと困るから」という意味になります。
「た」から始まる歌は6首ある
上の句の一文字目が「た」の歌は、百人一首の歌の中で6首あります。6首全部、二文字目でどの歌か決まる「二字決まり」の歌になっています。
4 たごのうらに ー ふじのたかねに
16 たちわかれ ー まつとしきかば
34 たれをかも ー まつもむかしの
55 たきのおとは ー なこそながれて
73 たかさごの ー とやまのかすみ
89 たまのおよ ー しのぶることの
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