75 契りおきし〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】

75 契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり 【藤原基俊】

読み方(ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり)

出展「千載和歌集」

スポンサーリンク

意味「75 契りおきし〜」

あなたが約束してくださった言葉を、命よりも大切に信じて待っているのに、ああ、今年の秋もむなしく去っていくようです。

作者:藤原基俊とは?

この歌の作者:藤原基俊(ふじわらのもととし)は、平安時代後期の歌人です。

当時の和歌の世界の中では、伝統的なスタイルで歌を詠む作風で、中心的な存在でした。百人一首の第74番歌の詠み手:源俊頼は新しい作風で、両者はよく対比されました。

解説「75 契りおきし〜」

この歌は、作者の藤原基俊が息子を思って詠んだ歌です。

当時、親戚のなかでも有力者だった第76番歌の作者:藤原忠通に、自分の息子の出世を頼んだけど、まったくダメで、恨みごと言う親の気持ちがこの歌に表現されています。

スポンサーリンク

藤原忠通は「させも草」の歌で、安心して任せるように、と言ったのですが、約束は果たされず、藤原基俊が恨みごととしてこの歌を詠んだのですね。

平安時代は、藤原氏が大きな権力をもっていた時代で、ほとんどが藤原氏のコネで出世するかどうかがきまっていたような時代でした。

家柄ですべてが決まる、という風潮は、その後も江戸時代まで続き、いわゆる日本的な文化のひとつともいえます。

その「家柄で決まる」ということに対して強く反発したのが、お札でも有名な福沢諭吉です。福沢諭吉は、家柄ではなく、努力したかどうかで差が出る社会の方が良い、と主張しました。その結果、今のテストや試験がある、ということですね。

「ちぎり」から始まる二首の歌「四字決まり」

百人一首の歌の中で、上の句の最初が「ちぎり」から始まる歌はこの歌を含めて二首あります。どちらの歌も「ちぎり」の次の四文字目で決まる「四字決まり」の歌になっています。

42 ちぎりきな ー すゑのまつやま
75 ちぎりおきし ー あはれことしの

スポンサーリンク