百人一首に恋の歌や切ない歌が多い?失恋や涙も【豆知識/雑学】
百人一首は、恋愛のつらさを歌った切ない歌が多い、ということに気がつきましたか?
平安時代の恋愛は、昼間の明るい時間に男女が会うことはできなくて、夜暗くなってから男性が女性の家を訪ねるのがデートだったんです。
だから百人一首には、女性が男性を待つ切ない歌が多いんですよね。
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また恋愛に関係する言葉として、よく出てくるのが「眺む(眺め)」と「物思ふ」。この言葉は両方とも「恋に悩んで物思いにふけっている」という意味です。
好きな人に会えない苦しさ、さみしさ、想いを寄せる人に冷たくされた悲しさに悩み、ボーッとしてしまって何も手につかない様子ですね。
風景や季節を歌っている歌でも、「眺む(眺め)」と「物思ふ」の言葉が出てくる歌は恋の歌だと覚えておきましょう。
「涙」「ぬれる」など泣く歌、失恋ものが多い?
和歌には「涙」「ぬれる」という表現も多く使われていますね。その多くは恋愛の悲しさや切なさからくる感情なんです。
百人一首の歌は、女性だけでなく、男性もよく泣きます。笑
当時は「男のくせに泣くなんて」とは思わず、「それだけ感情が豊かなんだ」と思われていたのかもしれませんね。
「袖がぬれる」という言葉は、泣いて流れ落ちる涙を着物の袖でふくことからきている表現ですね。恋人に会えない切なさ、失恋のかなしさ、などの感情を歌っていますね。
「袖をしぼる」という表現は、しぼるほどに袖が濡れている、つまり、たくさんの涙を流すくらい悲しいという気持ちを歌っているのです。
ただ単に「悲しい」「つらい」「切ない」と歌うよりも、遠回しな表現で歌にするほうが味わい深いんですね。
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恋の歌:歌番号一覧
3 あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
13 つくばねの 峰よりおつる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる
14 みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに みだれそめにし 我ならなくに
18 住の江の 岸による波 よるさへや 夢のかよひ路 人目よくらむ
19 難波潟 みじかき蘆の ふしのまも あはでこの世を すぐしてよとや
20 わびぬれば いまはたおなじ 難波なる 身をつくしても あはむとぞ思ふ
21 今こむと いひしばかりに 長月の 有明の月を まちいでつるかな
25 名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人にしられで 来るよしもがな
27 みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ
30 有明の つれなく見えし 別れより あかつきばかり うきものはなし
38 忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな
39 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき
40 しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は 物や思ふと 人の問ふまで
41 恋すてふ 我が名はまだき 立ちにけり 人しれずこそ 思ひそめしか
42 ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは
43 あひみての のちの心に くらぶれば 昔は物を 思はざりけり
44 あふことの たえてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
45 あはれとも いふべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな
46 由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな
48 風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ くだけて物を 思ふころかな
49 みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ 昼は消えつつ 物をこそ思へ
50 君がため 惜しからざりし いのちさへ 長くもがなと 思ひけるかな
51 かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしもしらじな もゆる思ひを
52 あけぬれば 暮るるものとは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな
53 なげきつつ ひとりぬる夜の あくるまは いかに久しき ものとかはしる
54 忘れじの ゆく末までは かたければ 今日をかぎりの いのちともがな
56 あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの あふこともがな
58 ありま山 ゐなの笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする
59 やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて かたぶくまでの 月を見しかな
63 いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな
65 うらみわび ほさぬ袖だに あるものを 恋にくちなむ 名こそをしけれ
72 音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ
74 憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを
うか はげしかれとは いのらぬものを 源俊頼朝臣(男)
77 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ
80 長からむ 心もしらず 黒髪の みだれてけさは 物をこそ思へ
82 思ひわび さてもいのちは あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり
85 夜もすがら 物思ふころは 明けやらで 閨のひまさへ つれなかりけり
86 なげけとて 月やは物を 思はする かこち顔なる わが涙かな
88 難波江の 蘆のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき
89 玉の緒よ たえなばたえね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
90 見せばやな 雄島のあまの 袖だにも ぬれにぞぬれし 色はかはらず
92 わが袖は 潮干にみえぬ 沖の石の 人こそしらね かわくまもなし
97 こぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ
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