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強迫性障害(強迫神経症)の診断基準について

強迫的な症状があるなら、すべて強迫性障害と診断されるわけではありません。

普通の状態、あるいは他の疾患と区別するポイントがいくつかあります。

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強迫性障害の診断基準について詳しくみてみましょう。

強迫性障害を診断する際の基準

強迫性障害かどうかは、医師の診察で患者の症状をもとに診断されます。

現在の医療機関では、主に次の2つの診断基準が用いられています。

DSM-Ⅳ-TR

DSM-Ⅳ-TRとは、アメリカ精神医学会が定めている「精神疾患の分類と診断の手引き」。精神疾患を診断する基準を示したもので、国際的に用いられる。(※最新版はDSM-5)

ICD-10

ICD-10とは、WHO(世界保険機関)による国際疾病分類。DSM-Ⅳ-TR同様、世界において代表的な診断基準として使用されている。

強迫性障害の診断ポイント

(※強迫性障害の診断基準はこの記事の最後の方に載せています)

強迫観念や強迫行為が苦痛になり、生活の妨げになるほどであること。また、自分の考えや行動が過剰なものであり、不合理であるという自覚があること。

【自覚・苦痛・支障あり】
強迫性障害の可能性が高い
(子どもや重症患者の場合は、不合理であることの自覚が薄い場合もある)

【自覚・苦痛・支障なし】
ほかの病気に可能性がある

強迫性障害の診断には時間がかかる

医療機関を受診したら、初診時には現在の状態を医師に伝えます。

じっくり話をすることで、多くの場合、強迫性障害か別の疾患なのか、だいたいの診断がつけられます。

ただし、不合理性の自覚がうすい場合などは、妄想との区別むずかしく、診断がつきにくいこともあります。

強迫性障害かどうか正確に診断するために、しばらくの期間の経過をみていくことが必要な場合もあります。

DSM-Ⅳ-TRの診断基準

DSM-Ⅳ-TRが示す強迫性障害の診断基準は次のようになっています。

DSM-Ⅳ-TRによる強迫性障害の定義

強迫性障害 obsessive-compulsive disorder

A 強迫観念または強迫行為のどちらか

【(1)(2)(3)および(4)によって定義される強迫観念】
(1)反復的、持続的な思考、衝動、または心像であり、それは障害の期間の一時期的には、侵入的で不適切なものとして体験されており、強い不安や苦痛を引き起こす。

(2)その思考、衝動または心像は、単に現実生活の問題についての過剰な心配ではない。

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(3)その人は、この思考、衝動、または心像を無視したり抑制したり、または何か他の思考または行為によって中和しようと試みる。

(4)その人は、その強迫的な思考、衝動、または心像が(思考布吹入の場合のように外部から強制されたものではなく)自分自身の心の産物であると認識している。

【(1)および(2)によって定義される強迫行為】
(1)反復行為(例:手を洗う、順番に並べる、確認する)または心のなかの行為は強迫観念に反応して、または厳密に適用しなくてはならない規則に従って、それを行うよう駆り立てられていると感じている。

(2)その行動や心の中の行為は、苦痛を予防したり、緩和したり、または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としている。しかし、この行動や心の中の行為は、それによって中和したり予防したりしようとしていることとは現実的関連をもっていないし、または明らかに過剰である。

B この障害の経過のある時点で、その人は、その強迫観念または強迫行為が過剰である、または不合理であると認識したことがある。
注:これは子どもには適用されない。

C 強迫観念または強迫行為は、強い苦痛を生じ、時間を浪費させ(1日1時間以上かかる)、またはその人の正常な毎日の生活習慣、職業(または学業)機能、または日常の社会的活動、他者との人間関係を著明に障害している。

D 他のⅠ軸の障害が存在している場合、強迫観念または強迫行為の内容がそれに限定されていない(例:摂食障害が存在する場合の食物へのとらわれ、抜毛癖が存在している場合の抜毛、身体醜形障害が存在している場合の外見についての心配、物質使用障害が存在している場合の薬物へのとらわれ、心気症が存在している場合の重篤な病気にかかっているのではというとらわれ、性嗜好異常が存在している場合の性的な衝動または空想へのとらわれ、または大うつ病障害が存在している場合の罪悪感の反復思考)。

E その障害は、物質(例:乱用薬物、投薬)または一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。

●該当すれば特定せよ
洞察に乏しいもの、現在のエピソードのほとんどの期間、その人はその強迫観念および強迫行為が過剰であり、または不合理であることを認識していない。

DSM-Ⅳ-TRの強迫性障害の特徴

現在は本人の自覚が乏しくても、ある時点で過剰だ、不合理などという自覚があった場合は強迫性障害に含めている(洞察にとぼしいもの)。

また、実際に外からみて分かる行為だけでなく、心のなかの行為も強迫行為に加えられている。

一見、考え事をしているようだが、心のなかでは、良いイメージを抱いて不安を小さくしようとしている(心のなかの行為)。

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