ID-10034404

境界性人格障害の家族の対応で大切なことは?問題を悪化させないために

境界性人格障害という病気をめぐって起こる問題は、家族や仕事先の人間関係、治療現場など、生活場面によって少しずつ違います。

家族のように患者本人にとってとても身近な人の場合、職場の仲間としての場合や病院ではどのようなことを注意すればいいのでしょうか。

スポンサーリンク

境界性人格障害の本人に対しての家族の対応は?

まず一番大切なことは、境界性人格障害という問題を家族だけで隠さずに、表に出すことが重要になります。

境界性人格障害の患者本人が次々と引き起こす問題に、家族は(特に母親と父親)振り回されるものです。

「家族の問題だから」と誰にも相談せず、家族だけで解決しようとしてもうまくいかないものです。

隠そうとすれば、境界性人格障害という問題は大きくなる

リストカットや暴力(DV)が止まらない、家族に当たり散らすといった場合、患者本人の言動に対して、家族、とりわけ母親と父親は自分たちだけでなんとか対処しようとしがちです。

・誰にも知られたくないも身内の恥
・ご近所に知られたら恥ずかしい
・うちの子は病気なんかじゃない、そのうち治るはず

というように、問題を隠してしまうことがよくあります。

こんなことで悩んでいるなんて「自分の育て方が悪かった」といっているようなものだから、誰にも話せない、相談できない、家族のことは家族で解決しなければ、と考えてしまうのです。

家族の対応で症状を悪化させることもある

患者本人の激しい怒りやDVなどの状態は、大体の場合、数時間から数日で症状は落ち着きます。

その様子を間近でみている家族は、子どもの問題行動の多さは一時的なものに過ぎない、と期待を持ってしまったりします。

スポンサーリンク

そしてその結果、家族だけで問題を抱え込んでしまうことになってしまうのです。

どう対応すればいいかわからないまま、問題行動を起こすたびに対応に追われ、患者の行動に振り回され、身も心もへとへとに疲れきってしまいます。

境界性人格障害などの病気の場合、家族の対応が患者本人の心の底にある不安や恐怖を刺激して、ますます状態を悪化させてしまうことが少なくありません。

家族だけで悩まず、誰かに相談すること

問題を誰かに相談したりして家族の外に出すことで、視野が広がり、気持ちも楽になります。

・親戚に相談する
・友人に相談する
・カウンセラーに相談する
・医師に相談する(本人が病院に行きたがらない場合、家族だけで診察を受けてもいい)

家族だけでなんとかしようと頑張るのではなく、家族以外の人に相談することがおすすめです。

違う視点から問題を見つめ直すことで、家族にできること、家族にはできないこと、家族それぞれの率直な思いなどを明らかにしていきます。

多くの場合、家族は身内が境界性人格障害であることに悩んでいるわけではありません。

悩みの種はもっと具体的で、子どもが次から次へと引き起こすやっかいな問題に翻弄されているというのが、ほとんどの場合です。

何とか自分たちの問題として解決しようとしてきたが、かえって悪化していくことも少なくありません。

このような状態を打開するには、家族の外から、問題解決の糸口を探る必要があります。

患者の状態を良く知る意味でも外部の力を利用し、家族のメンタルヘルスを維持することが大切なのです。

◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

スポンサーリンク