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境界性人格障害と母親の関係、治療での問題とは?

境界性人格障害では、母親との関係が治療をすすめる中で問題の原因となることがあります。

境界性人格障害という病気と母親の存在にはどのような関係があるのでしょうか。

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境界性人格障害は母親との関係が原因なの?

境界性人格障害の特徴として、見捨てられる不安や恐怖を強く感じる、という点があげられます。

この「見捨てられる不安」は一体どこからきているのか、というと、多くの場合、子どもの頃の母親との関係がきっかけになっていることがあります。

母親からの愛情が少なかった、母親の子育てにおいて望ましくないコミュニケーションがあった、というように感じる出来事があり、その結果、正常な発達過程とは違い、大人になっても「母子一体感」を強く持ってしまうことがあります。

すべての境界性人格障害の原因が母親との関係にあるとまでは言えませんが、過去の経験や育ち方がパーソナリティの形成に関係していることは否定できません。

しかし、過去の問題ばかりに目を向けているのでは、何の解決にもなりません。

境界性人格障害の治療を進めるには、過去にとらわれず、現在の日常生活を立て直すことが大切です。

境界性人格障害の人は、母親に対して問題のすり替えをする

境界性人格障害の患者本人の多くは、「母親から愛されてこなかった」「母親の育て方が悪かった」というような不満や怒りを母親に向けるケースがよくあります。

しかし、「母親が・・・」と過去の問題を訴える背後には、現実の中で境界性人格障害の患者本人が抱えている問題がありるのです。

それを境界性人格障害の人は現在の問題と過去の問題を混同してしまう傾向が高いといえます。

例えば、

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【学校で友達とケンカした】
友人に対して怒りの感情を抱き、疎外感、孤独感などの気持ちがわき上がってくる

【過去の問題や家庭内の問題と混同】
友人との気まずい関係を、うまくいっていない母親との関係におきかえてしまう

【母親との葛藤が前面にでる】
自分がこんなにつらい想いをしているのは、母親のせいだという気持ちでいっぱいになる.

【すり替えられた問題】
「母親はいつも冷たかった」「なにもしたいようのさせてくれなかった」といった母親との葛藤にばかり目が向いてしまう。

【治療】
脇道にそれやすい視点を元に戻し、今問題になっていることへの具体的な対応方法を考えていく。

【現実の問題】
今起こっているのは、友人とのすれ違いという問題。そこから目を背けず、具体的な対応を考えていく。

治療を順調にすすめるポイント

境界性人格障害の人は、母親との葛藤など未解決の問題(アンフィニッシュドビジネス)たくさん抱えています。

そのため、現実の生活でうまくいかないことがあると、過去の問題にまで目が向き、混乱を深めてしまいがちです。

しかし、混乱のきっかけは、現実の生活の中で生じた問題です。

目の前の問題を直視し、それの対応する具体策を考えていくことが大切です。

「いま、ここ」を重視する

目の前の問題の解決をはかるだけでは、境界性人格障害という病気の具体的な治療にならないと思うかもしれませんが、そんなことはありません。

ひとつひとつ、具体的な問題を解決する能力を高めることが、境界性人格障害そのものの治療に結びついていくのです。

◆この記事は、元国立肥前療養所医長、元福岡大学医学部教授、元東京慈恵会医科大学教授、元東京女子大学教授、牛島定信先生執筆・監修の「境界性パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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