うつ病の完治、克服のための心構えとは?
うつ病を克服し完治させるために、治療にはこれだけは知っておいた方がいい、守っておく必要がある事があります。
うつ病では、笠原嘉博士が提案した「簡易精神療法」の具体的項目が大切です。
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本来は医師に向けられたものですが、うつ病の治療を受ける患者さんや家族の人にとっても有益なものです。
簡易精神療法をもとに、うつ病を克服するための7つの心構えをお伝えします。
①病気であると自覚すること
うつ病は心の病気です。
適切な治療をきちんと受けることで、回復・完治が見込めるのであせらないようにしましょう。
まずは、自分自身がうつ病という病気であることをしっかりと自覚することが大切です。
うつ病の患者さんは、症状や状態について、自分の気のゆるみなのか、病気なのか、迷っています。
また、責任感の強さから「怠け」とも思い込みがちです。
本人に加えて家族も、病気であることを認めない場合があります。
うつ病であるという認識が欠ければ、治療への理解や取り組みが消極的になり、良い結果をもたらしません。
まず、本人は病気であると自覚し、家族は患者さんの病気の苦しみを理解しましょう。
②できるだけ早く、休養生活をすること
うつ病を克服するためには、薬の服用なしには状態はなかなか改善しません。
身体の休養だけではなく、心も十分に休ませましょう。
うつ病の患者さんは、もともと頑張り屋の人がほとんどで、その頑張りの結果がうつ病を招いたのです。
休養は怠けるためではなく、心身の疲れを癒し、うつ病を完治させるためにしっかりとらなければなりません。
仕事をしている人は、診断書を職場に提出し、休職・休養の正当性を職場の人にも理解してもらいましょう。
主婦の場合は、家族に家事の分担をしてもらいましょう。
「迷惑がかかるから」「みんなに悪いから」と悩む必要はありません。
うつ病を克服し元気になることが、家族や周囲人のためにも大切です。
きちんとした休息がとれれば、治療は半分以上成功したといっても過言ではありません。
③予想できる治療の時点をはっきりと知っておく
うつ病の回復は、少なくとも3ヶ月程度の時間がかかります。
治癒への見通しが立てば、将来を悲観せずに治療に専念しましょう。
朝起きて「今日も一日、辛い思いで過ごすのか」と落ち込むことなく、前向きに治療に取り組むのです。
うつ病をの原因となっている脳内の変化は、急には調整されず、最低3ヶ月間はかかります。
家族や周囲の人も、もし1ヶ月で症状が回復したとしても、3ヶ月くらいは警戒しなければならない期間だと考えてください。
④服用の重要性と薬の副作用を知っておく
うつ病は、薬を服用しないと症状が改善しません。
病院で処方された薬の効果に疑問があれば、医師に相談し、自分で服用を勝手に止めないようにしましょう。
うつ病の薬が効果を現すまで、おおよそ1〜2週間かかることが多いようです。
口の渇きや便秘などの症状が、薬の副作用として出ることがあり、治療中に薬の服用に疑問を抱くことがあるかもしれません。
薬の効果、使用に関しては、医師に相談し、適切な対応を受けてください。
「薬に頼るより生き方を変えなければ」「薬が怠け心を治すわけではない」など、周囲が身勝手な言葉を投げかけるかもしれません。
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しかし、うつ病は薬を利用しながら回復していく病気です。
服用をいい加減にしないで、医師の指示に従うようにしましょう。
⑤絶対に自殺はしないと誓う
自殺を決定的に防ぐ方法は、本人の意思しかありません。
精神科医が患者さんの自殺を防ぐ絶対の方法はありません。
過去の出来事を後悔したり、自分を責めてしまったり、死んだ方が楽と思うこともあります。
うつ病は治る病気です。
決して自殺しないことを約束して治療を続けましょう。
⑥治療中の症状は一進一退を繰り返す
うつ病の治療は、症状が良くなったり悪くなったりしながら、徐々に回復に向かいます。
症状の波に一喜一憂せず、冷静にうつ病の治療を続けましょう。
回復へと向かう時期の悪化は、想像以上の深刻さを患者さんに与えますが、あきらめてはいけません。
悪化した状態であっても、2〜3週間も経てば、再び改善へと向かいます。
うつ病は、春に向かう時期の三寒四温のような波を繰り返して、回復へと向かうことを知っておいてください。
⑦回復するまで、大きな決断は延期する
うつ病の症状が続いている期間は、判断力も思考力も低下しています。
人生に関わる決断は避けるようにしましょう。
「退職すれば会社に迷惑をかけない」「離婚すれば相手は楽になる」など、うつ病をの治療期間中の判断は、誤ったものや、早まったものになりがちです。
あせって間違った行動をとると、人生を台無しにするばかりか、回復した後の再発の原因になる恐れがあります。
急を要する決断なら、家族や周りの誰かに相談したり、代理人をたてるなどして、独断を避ける方がいいでしょう。
休養と治療でうつの悪循環を断つ
うつ病の人は、心理的なエネルギーが低下したため、葛藤が浮上し、職場や家庭、経済などの悩みを執拗に訴える場合があります。
精神科医は、うつ病患者の葛藤をすぐに解決しようとせず、葛藤を混乱しない生き方を見いだすように援助します。
十分な休息と治療によって、心理的なエネルギーの水準が上がれば次のような悪循環を断つことができます。
うつ病の悪循環
心理的エネルギーの低下
↓
葛藤の浮上
↓
執拗な訴え
↓
疲労がふくらむ
↓
葛藤は解決不能だと絶望する
↓
葛藤がふくらむ
↓
執拗な訴え
↓
(繰り返す)
うつ病治療での7つの心構え(まとめ)
①本人も家族もうつ病と自覚する
うつ病は治療の対象になる病気で、決して気のゆるみや怠けではない
②できるだけ早く心理的休息に入る
休むことができれば、治療の半ばは成功したと言える
身体だけではなく、気持ちも十分に休ませる
③治癒の時点をはっきりと知る
うつ病は回復までに少なくともは3ヶ月はかかる。
じっくりと治療に取り組む。
④薬の重要性を知り、服用を独断で判断しない
薬の働きと副作用を知り、服用を続ける。
⑤絶対に自殺しないことを誓う
早まったことはしないと、本人が約束する。
⑥治療中に症状は一身失態する
うつ病は行きつもどりつしながら、よくなっていく。
⑦治療中は大きな決断をしない
判断力も思考力も低下している時期は、決断を避ける。
◆この記事は、赤坂診療所所長、精神保健指定医、渡辺登先生執筆・監修の「これでわかるうつのすべて(成美堂出版)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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