16 たち別れ〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】
16 たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む 【中納言行平】
読み方(たちわかれ いなばのやまの みねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ)
出展「古今和歌集」
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意味「16 たち別れ〜」
あなたと別れてこれから因幡の国に行きます。その稲葉山の峰に生えているという松の木を目にしたら、私を待っているあなたのことを思い出して、すぐにでも私は帰ってきますよ。
作者:中納言行平とは?
作者の中納言行平は、在原行平(ありわらのゆきひら)といい、17番歌の作者:在原業平の異母兄になります。
在原行平は、平安時代初期の歌人で、平城天皇の皇子、阿保親王の子供です。
解説「16 たち別れ〜」
この歌は、作者の在原行平が因幡の国の国司に任命されて、旅立つ前に詠んだといわれています。他にも、行平が女性に送った歌という説もあります。
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因幡(いなば)の国は、現在の鳥取県東部。いなばの白うさぎの「因幡(いなば)」です。
この歌の「いなば山の峰に生ふる」は、四句の「まつ」を引き出す序詞(じょことば)になっています。
「まつとし聞かば」の「まつ」は、「松」と「待つ」の二つの意味を持つ掛詞になっていますね。
また「いなばの山」は「稲葉山」と「往なば」との掛詞になっています。「往なば」は「行ったとしても」の意味です。
「た」から始める歌は6首「二字決まり」
百人一首の歌の中で、上の句が「た」から始まる歌は全部で6首。6首の歌すべてが二字目でどの歌かわかる「二字決まり」の歌です。
4 たちわかれ ー まつとしきかば
34 たれをかも ー まつもむかしの
55 たきのおとは ー なこそながれて
73 たかさごの ー とやまのかすみ
89 たまのおよ ー しのぶることの
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