パニック障害のAさんの例
Aさんは通勤電車の中で、激しい発作がおきました。
発作の激しい症状はすこし時間が経つと、うそのようにおさまったが、思い当たる病気もなく、検査を受けることになりました。
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血液検査や一般的な検査のほか、心電図やレントゲンも撮りました。
しかし、「検査の結果は以上ありません」と、原因は分からず、後日、精密検査を受けることを勧められました。
心配してくれた家族や友人に報告し、「大丈夫、なんともなかったみたい」と心配させないようにと笑顔で報告したのですが・・・。
数日後、いつものように電車に乗ろうとしたとき、ふと、あの日の激しい症状が頭の中によみがえりました。
「この前みたいになったらどうしよう。そういえば昨日もよく眠れなくて、疲れがとれていない気がする」と、不安を振り払おうとすればするほど、心臓がドキドキ、やがて動悸が激しくなり、冷や汗が出始め、息も止まるような気がして、ついにその場に倒れ込んでしまいました。
「今度こそ、私、死んでしまう!」
それ以来、また、あの発作が起こるのではないかと不安になり、電車に乗るのが怖くなってしまったのです。
電車に乗れないので会社にも行けません。
「すみませんが、体調が悪いので休ませてください」
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そして、欠勤が何日か続き、そのまま退職せざるを得なくなってしまいました。
「私の信用はガタ落ちだろうな。こんなことだと、職場の人にも迷惑をかけてしまう」
人ごみに出ることも苦痛になり、毎日、家に閉じこもるようになりました。
「知らない人ばかりの中で倒れたら困る」
家族はそんな状態を励ますつもりで「しっかりしなさい、そんな弱気でどうするの」と言ってくれますが、なかなか答えることができません。
そんなことが続くうち、まわりの人はあきれてしまったのは無理もありません。
しかし、一番つらいのは本人です。
誰からも理解してもらえない孤独感、得体の知れない発作に対する恐怖、苦しさと寂しさと不安におびえながら暮らす毎日。
まるで、すべてを失ってしまったように感じてしまいます。
パニック障害は内科で検査をしても分からない
心臓の具合が悪く、めまいがしたり、息が苦しかったり、どこか身体に異常があるはずなのに、と思うのに検査をしても何も見つからない・・・。
そんな時はパニック障害を考えてみてください。
内科をいくら受診しても、おそらくムダでしょう。
原因はまったく別のところ、脳にあるのですから。
自分で気づかないうちに無理をして、脳が助けを求めているのです。
◆この記事は、精神科医、赤坂診療所所長、渡辺登先生執筆・監修の「パニック障害(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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