LD(学習障害)とチック、てんかんの併発・合併も多い?
てんかんやアレルギー、チック症などの病気がLD(学習障害)と併発・合併する場合があります。
LD(学習障害)の子供が、何か病気をあわせ持っている場合、その病気を治療しないと、学習面での指導もなかなか効果が上がりません。
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LD(学習障害)とてんかん・チックがよくみられる
熱性けいれんを繰り返しおこしたLD(学習障害)の子供で、てんかんを合併している場合があります。
また、チックもよくみられます。
かつては、チックの原因は精神的なものだと言われていましたが、最近はチックをおこしやすい体質と心理的な要因が加わって発症すると考えられています。
LD(学習障害)の子供がてんかんやチック症の場合も、必要であれば薬による薬物治療が行われることになります。
てんかんとは?
てんかんとは、脳の神経細胞の一部が異常に興奮するために、倒れたり、けいれん発作を起こす病気です。
はっきりとしたてんかん発作がなくても、脳波検査で特徴的な脳波がキャッチされ、てんかんと分かる場合もあります。
てんかんの発作がおこっていても、発作の程度が小さいと、ボーッとしているだけで周りの人から気づかれにくいこともあります。
・以前、熱性けいれんをおこしたことがある
・熱がないのに、ひきつけをおこした
・ボーッとしていて呼びかけても反応が弱いことがある
【対応】
状況によって、てんかん薬をつかう。
チック症とは?
チック症とは、突然大きな声を出したり、まぶたや口をピクピクさせたりなどを繰り返し、日常生活に支障をきたす状態です。
音声チックと運動チックの両方が同時におこると「トゥレット障害」と呼ばれます。
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音声チック
叫ぶ、せき払い、舌をならすなどが続く。
運動チック
顔をゆがめたり、突然肩や首、足を動かしたりする。
【対応】
専門医の治療を受ける。
視力や聴力に問題があるLD(学習障害)
視力が弱かったり、斜視のためにものが見えにくいと、学習には大きな影響が出てLD(学習障害)になるケースもあります。
また、慢性的な中耳炎を起こしたりして聴力が落ちているケースも同様です。
・返事が遅い
・片目をつぶって見る
・首をかしげて見る
【対応】
治療を行ったうえで、理解度に合わせた教育的支援をおこなう。
アレルギー性疾患
ぜんそくや慢性鼻炎などのアレルギー性疾患があると、身体的な症状に注意が向いてしまうため、集中力が続きません。
その結果、学校の授業に集中することができず、LD(学習障害)と判断されてしまうこともあります。
【対応】
治療を行ったうえで、理解度に合わせた教育的支援をおこなう。
病気が勉強に集中できない状況をつくる
以上のように、何かしらの病気が原因で学習が困難になり、LD(学習障害)と間違われやすいケースがあります。
まず、もととなる病気への対処をしながら、学習の進み具合に応じた指導をします。
視力や聴力の問題やアレルギー性の疾患は、LD(学習障害)と併発しやすいわけではありません。
しかし、これらの病気があると、勉強・学習に集中することがむずかしくなるため、結果的にLD(学習障害)と間違われることにつながるのです。
アレルギー性の疾患などは、適切な治療で改善するので、早めの発見、対処が必要です。
◆この記事は、教育心理学者、東京学芸大学名誉教授である上野一彦先生執筆・監修の「LD(学習障害)のすべてがわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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