症状による適応障害の分類・6つのタイプとは?
適応障害は、ストレスのために精神、身体、行動に様々な症状があらわれるといった精神疾患のひとつです。
あらわれる主な症状から、適応障害は6つのタイプに分類することができます。
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適応障害の分類・6つのタイプ
現在の日本では、アメリカ精神医学会の診断基準[DSM-Ⅳ-TR]を使用しており、適応障害を次の6つのタイプに分類しています。
このうち最も多いのは、「不安と抑うつ気分の混合を伴うタイプ」とされています。
①抑うつ気分を伴うタイプの適応障害
・ゆううつ
・絶望感がある
・涙もろい
・意欲ややる気がない
②不安を伴うタイプの適応障害
・神経質
・心配
・過敏
・子どもの場合、主要な愛着の対象(多くは母親)からの分離の恐怖を感じる場合も。
③不安と抑うつ気分の混合を伴うタイプの適応障害
不安症状と抑うつ症状の両方があるタイプ
④行為の障害を伴うタイプの適応障害
・反社会的な行動
・規則違反
・犯罪的な行為をする
⑤情緒と行為の混合した障害を伴うタイプの適応障害
不安や抑うつなど情緒的な症状と、行為の障害の両方がある
⑥さまざな症状を伴う特定不能のタイプの適応障害
・ひきこもり
・身体の症状
・他のタイプに分類できないもの
うつ病と適応障害は似ている?違いは何?
抑うつを伴うタイプの適応障害は、うつ病と似ているところがあります。
気分が落ち込むなどの抑うつを主な症状とする精神疾患というと、うつ病が真っ先に思い浮かぶことでしょう。
うつ病は、正しくは大うつ病あるいは単極性障害といい、気分障害のひとつです。
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気分障害の中には、適応障害との区別が難しいものがいくつもあります。
抑うつがさほど強くない点においては、適応障害は軽症のうつ病とほとんど区別できません。
また、ストレスの元がないと元気を取り戻す点や自分を責める自責の念が顕著でない点は、適応障害は新型うつ病といわれる非定型うつ病と同じです。
適応障害と気分障害との大きな違いは、適応障害では原因の元になるストレスがはっきりしている点です。
原因のストレスがなくなれば、適応障害は治る?
原因のストレスがなくなると半年以内に症状がなくなる
適応障害は症状の原因となったストレスがはっきりしていることが特徴です。
患者さんと一緒に少し考えてみれば「最近ショックな出来事や環境の変化があった」と、比較的簡単に病状の原因に思い当たります。
あるいは、考えるまでもなく、そのストレスがずっと頭を離れず、悩み、気持ちが塞いでいたことも多いようです。
診断基準(DSM-Ⅳ-TR)にも、適応障害は、原因ストレスから3ヶ月以内に発症すると明記されており、ストレスが消えれば症状も消えるというのが適応障害の特徴のひとつといえます。
また適応障害の大きな特徴に、症状は6ヶ月を超えないという点もあります。
原因となるストレスが取り除かれれば、すみやかに回復していき、この時間的な関係が診断において重要なのです。
病気の原因のストレスが消えても症状が6ヶ月以上続くのであれば、別の病気、例えばうつ病や気分変調症が適応障害に続いて発症したと考えられます、
たら、ストレスの中には職場の人間関係のように、簡単に取り除けないものもあり、そのため適応障害が慢性化してしまうこともあります。
◆この記事は、医療法人和楽会理事長、貝谷久宣先生執筆・監修の「適応障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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