88 難波江の〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】
88 難波江の 芦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき 【皇嘉門院別当】
読み方(なにはえの あしのかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや こひわたるべき)
出展「千載和歌集」
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意味「88 難波江の〜」
難波の入り江にはえている蘆の短い節のような、短い旅先での恋をしたばかりに、わたしはこの先も我が身を尽くしてあなたのことを想い続けるのでしょうか。
作者:皇嘉門院別当とは?
この歌の作者:皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)は、平安時代末期の女性歌人です。
村上天皇の血筋である源俊隆の娘にあたります。
百人一首の第77番歌の作者:崇徳天皇の后である皇嘉門院に仕えたのでこう呼ばれています。
別当(長官)が単なる呼び名なのか、当時、実際に女別当という役職についていたのか、詳しいことはハッキリとはわかっていません。
皇嘉門院が、九条家の始祖:九条兼実の姉であることもあって、別当も九条家の歌合に参加し、この歌は「旅宿逢恋(旅先での一夜の恋)」というお題で詠んだ歌です。
解説「88 難波江の〜」
この歌は、縁語と掛詞が数多く使われている歌です。
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「難波江の」の「難波」は、現在の大阪のことで、「江」は「入り江」を指します。
二句の「蘆」、四句の「みをつくし」は難波の名物で、このふたつは「難波江」と縁語の関係になっています。また最後の句の「わたる」も入り江と関係があり、「難波江」の縁語になっています。
「かりね」は、切り株を意味する「(蘆の)刈り根」と「(旅の)仮寝」の掛詞ですね。
「ひとよ」は、一節の意味の「(蘆の)一節」と、「一夜」の掛詞です。
「〜ゆゑ」は、「〜のために」や「〜によって」という意味になります。
「みをつくし」は、舟の通路を指し示すための水中に打たれている杭の「澪標(みおつくし)」と、身をささげる「身を尽くし」のふたつの意味の掛詞になっています。
「かりね」と「ひとよ」も縁語の関係になっています。
「恋ひわたるべき」は、「これからもずっとあなたに恋をし続けなければいけないのでしょうか」という意味になります。
覚えるときは下の句が似ている歌に注意
この歌を覚えるときは、下の句が似ている歌があるので間違えないように注意しましょう。
20 わびぬれば ー みをつくしても
88 なにはえの ー みをつくしてや
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