1 秋の田の〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】
1 秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ 【天智天皇】
(あきのたの かりほのいほの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ)
出展「後撰和歌集」
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意味「1 秋の田の〜」
秋の田の番をする仮小屋は、草を編んで作った屋根の編み目が粗いので、私の着物の袖は、もれてくる夜露にぬれつづけている。
作者:天智天皇とは?
この歌は天智天皇が農民たちの苦労を思いやって詠んだ、と伝わる歌です。
天智天皇(てんじてんのう)は、飛鳥時代の第38代天皇です。2番歌「春すぎて〜」の作者の持統天皇の父親です。
天智天皇は、舒明天皇の皇子で、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)と呼ばれ、蘇我氏討伐、大化の改新、近江遷都などを成し遂げたことで歴史的にも有名です。
解説「1 秋の田の〜」
この歌は、奈良時代の日本最古の歌集「万葉集」にも、この歌の元となったと考えられている「詠み人知らず」の歌がのっています。その後、天皇が農民の立場で詠んだのがこの歌となっています。
この歌の元となっている「万葉集」にのっている歌は「秋の田刈る かりほを作り 我が居れば 衣手寒く 露ぞ置きにける」という歌で、農民がつくった歌ではないかといわれています。
農民がつくった歌が天皇の歌になってしまう、という点が不思議な感じがしますが、それは天皇と米作りが深く関係しているからです。
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当時の時代は、祭りで天皇が神と結婚することで米の豊作を願っていました。天皇が天気を司る天と仲良くする、ということから、この歌はある意味では恋の歌という見方もできますね。
ただ貧しく寂しい小屋にいる、ということだけではなく、農作業をすることが自分たちの生きがいだ、という気持ちがこの歌にはこめられています。
「苫」とは、植物のすげやかさを編んで、小屋の屋根や周りをおおうときに使うものです。「苫をあらみ」は「苫の編み目があらいので」という意味。
詠み人知らずとは?
「万葉集」は、奈良時代にまとめられた日本最古の和歌の歌集です。約4,500首の歌がのっています。
歌の作者は、天皇から農民まで様々な身分の人がいて、それぞれの歌には作者がのっているのですが、中には作者名がのっていない「詠み人知らず」の歌もあります。
「詠み人知らず」とは、歌の作者がわからないときに使われた言葉です。また、作者がわかっていても、何かの事情があって作者名を明らかにできないときにも「詠み人知らず」とされました。
「秋」から始まる歌は二首ある
百人一首には、「秋」から始まる歌が二首あります。「1 秋の田の」と「79 秋風に」のふたつです。
・あきのたの 〜 わがころもでは
・あきかぜに 〜 もれいずるつきの
ポイントは三文字目。「あき」の次の三文字目まで聞かないとどちらの歌かわからない「三字決まりの歌」になっています。
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