11〜20 百人一首の意味/解説/読み方一覧表
11〜20番の百人一首の歌について、それぞれの歌に込められた意味・解説・翻訳・読み方をまとめてみたいと思います。
11 わたの原〜(読み方・意味・解説)
11 わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟 「参議篁」
参議篁は「さんぎ たかむら」と読みます。
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【読み方】
わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね
【意味】
広々とした海に浮かぶたくさんの島々。私がそこを縫うようにして舟を漕ぎ出していったと、都にいる私の恋しい人に伝えて欲しい。漁師たちが乗る釣り船たちよ。
【解説】
「私が船出することを恋しい人に伝えて欲しい」と、島流しにあって都を離れる寂しい気持ちが込められた歌です。
12 天つ風〜(読み方・意味・解説)
12 天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ 「僧正遍照」
僧正遍照(そうじょうへんじょう)が詠んだ歌ですね。
【読み方】
あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ
【意味】
空を吹く風よ、天女たちが天と地を行き来する雲の道を閉ざして帰れないようにしておくれ。天女たちの素晴らしい舞をもう少しとどめておきたいから。
【解説】
「天女のように舞う美しい姿をもう少し見てみたい!」と、乙女たちの舞の素晴らしさを歌っています。
13 筑波嶺の〜(読み方・意味・解説)
13 筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞつもりて 淵となりぬる 「陽成院」
陽成院(ようぜいいん)が詠んだ恋の歌ですね。
【読み方】
つくばねの みねよりおつる みなのがは こひぞつもりて ふちとなりぬる
【意味】
筑波山の峰から流れてくるみなの川に、たくさんの水がたまって深い淵になるように、あなたを恋する私の気持ちも淵のようにこんなに深くなっている。
【解説】
「淵のように深く、あなたのことが好きなんです!」と、恋する気持ちを深い川にたとえた激しい恋の歌です。
14 陸奥の〜(読み方・意味・解説)
14 陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに 「河原左大臣」
河原左大臣(かわらのさだいじん)が詠んだ恋の歌ですね。
【読み方】
みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに みだれそめにし われならなくに
【意味】
東北地方の忍ぶ草ですり模様をつけた衣のように、私の心は秘密の恋に乱れている。誰のせいで乱れているのでしょう。そんな乱れる私じゃないのに。あなたのせいです。
【解説】
「心が乱れてしまうのは、恋するあなたのせい!」という恋の歌です。「しもぶもぢずり」とは「忍ぶ恋」のことを意味しています。
15 君がため〜(読み方・意味・解説)
15 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ 「光孝天皇」
光孝天皇(こうこうてんのう)の歌です。
【読み方】
きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ
【意味】
あなたのために、春の野に出かけて若菜をつんでいる私の袖には、雪が降り続いています。
【解説】
「あなたのために春の菜をつむのは楽しい」と、寒さに耐えながらも、プレゼントの菜をつむ楽しさが伝わってきます。
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16 たち別れ〜(読み方・意味・解説)
16 たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む 「中納言行平」
中納言行平(ちゅうなごんゆきひら)が詠んだ歌です。
【読み方】
たちわかれ いなばのやまの みねにおふる まつとしきかば いまかへりこむ
【意味】
あなたと別れていなばの国に行きますが、その山に生えているという松のように、あなたがわたしを待っていてくれると言うのなら、すぐにでも帰ってきますよ。
【解説】
「まつ」は「松」と「待つ」の掛言葉。本音は待っている人のもとに帰りたいという「どうか、私を待っていると言って欲しい」という思いが歌に込められています。
17 ちはやぶる〜(読み方・意味・解説)
17 ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは 「在原業平朝臣」
在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)の歌です。
【読み方】
ちはやぶる かみよもきかず たつたがは からくれなゐに みづくくるとは
【意味】
大昔の神々の時代にも、こんなことは聞いたことがない。龍田川に紅葉の葉が浮かんで流れ、まるで真っ赤に染められたしぼりぞめのようになるなんて。
【解説】
「ちはやぶる」は枕詞。
「紅葉で真っ赤に染まった川、なんて美しいの!」と、前代未聞の美しさに感動して、思わずできた歌ですね。
18 住の江の〜(読み方・意味・解説)
18 住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人めよくらむ 「藤原敏行朝臣」
藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)の恋の歌ですね。
【読み方】
すみのえの きしによるなみ よるさへや ゆめのかよひぢ ひとめよくらむ
【意味】
住の江の岸による波ではないけど、昼間だけでなく、夜の夢の中でもあなたは人の目を気にして私に会いに来てくれないなんてつらい。
【解説】
「夢でも会いに来てくれないて寂しい」と、好きな人に会えないツライ気持ちを歌った恋の歌です。「よる」は「夜」と「寄る(波)」の掛言葉ですね。
19 難波潟〜(読み方・意味・解説)
19 難波潟 みじかき芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや 「伊勢」
伊勢(いせ)が詠んだ恋の歌ですね。
【読み方】
なにはがた みじかきあしの ふしのまも あはでこのよを すぐしてよとや
【意味】
難波潟の入り江に生えている蘆の、ふしの間くらいに短い時間でさえもあなたに会えないなんて。会えないまま生きていけばいいと思っているけどツライ。
【解説】
「ほんの少しの時間も会えないなんてひどいわ」と会えない寂しさを歌った歌です。平安時代では、「逢う」というのは「男女の仲になる」という意味になります。
20 わびぬれば〜(読み方・意味・解説)
20 わびぬれば 今はた同じ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ 「元良親王」
元良親王(もとよししんのう)の恋の歌ですね。
【読み方】
わびぬれば いまはたおなじ なにはなる みをつくしても あはむとぞおもふ
【意味】
ひみつの恋がみんなに知られて噂になってしまった。もう、どうなってもいい。難波の海にある澪標(みおつくし)のように、この身を滅ぼしてもいいからあなたに会いたい。
【解説】
「身体を滅ぼしてもいいからあなたに会いたい!」という激しい恋を詠った歌です。「澪標(みおつくし)=舟の目印になる杭」と「身を尽くし」の掛言葉になっています。
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