自閉症スペクトラムの原因は?セロトニンやドーパミンなど神経伝達物質の関係も
自閉症スペクトラムやADHDなどの発達障害がある子どもには、他の子どもたちと脳の発達度合いが違い、それが原因となって発達障害特有の行動パターン(症状)が生じるのではないかと考えられています。
また、脳機能、認知機能の影響だけでなく、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質も、発達障害(自閉症スペクトラムやADHD等)の要因のひとつではないかといわれています。
スポンサーリンク
発達障害の原因は脳の認知機能のかたより?
自閉症スペクトラムやADHD、LD学習障害などの発達障害の発症原因については、現在も研究が進められている最中で、はっきりとした原因は解明されていません。
自閉症スペクトラムやADHDなどの発達障害は病気ではないので、「発症」という表現はズレているかもしれませんね。
ただ、脳の機能における認知機能の働きにかたより(特性)があることが、発達障害の症状と深く関連していると考えられています。
認知機能の意味について
認知機能とは、目、耳、鼻、舌、皮膚などの感覚器官からの情報を記憶と照らし合わせて、状況や場面に応じてどう対応すればいいか判断するまでの、一連の脳の処理能力のことです。
この認知機能の働きに偏りがあると、ある分野の情報にはうまく対応できるのに、別の分野の情報にはうまく対応できない、といったように、得意・不得意のアンバランスが生まれます。
また、思考、行動の面においても、特徴的なパターンが生じるようになります。
発達障害は性格やクセではない
こうした脳の認知機能の偏りは、脳形成の発達段階において何かしらの問題があって生じるのではないか、といわれています。
そういう点においては、脳の認知機能のかたよりは、生まれつきの先天的な器質障害であり、後天的な性格やクセの類とは異なります。
スポンサーリンク
自閉症スペクトラムやADHDなどの発達障害は、本人の性格やクセではありません。
どの脳の部位が発達障害と関係あるの?
現時点の研究では、どの脳の部位が認知機能のかたよりに関係しているかまでは解明されていません。
しかし、思考や言語をつかさどる前頭前野や側頭葉、扁桃体や尾状核などの大脳皮質に要因があるのでは、といわれています。
最新の研究では、自閉症スペクトラムは大脳皮質が早く成熟し、ADHDでは大脳皮質の発達が遅いのではないか、と考えられています。
①前頭前野【発達障害と脳】
脳の部位「前頭前野」は、感覚、感情、記憶(ワーキングメモリー含む)などの情報処理、状況に応じて行動する等の働きを担っています。
前頭前野の機能に障害があると、ワーキングメモリーの機能に障害が生じて忘れ物が増える、ミスや失敗を繰り返すことになります。また、相手の気持ちを理解することも難しくなってしまいます。
②側頭葉【発達障害と脳】
側頭葉は、聴覚情報や視覚情報を処理する機能があり、相手の顔や表情、仕草などから、その人の感情や気持ちを理解する働きもあります。
側頭葉の機能に障害があると、人の感情が読めない、考えや気持ちを想像することが困難になります。
③尾状核【発達障害と脳】
脳の部位のひとつ「尾状核」は、スムーズな身体の動きを可能にし、運動や行動を調整する働きがあります。また、記憶や学習にも深く関係している部位です。
尾状核に障害が生じると、行動が過剰になったり、スムーズな動作ができなくなったりします。
④扁桃体【発達障害と脳】
扁桃体は、本能的な不安や恐怖、好き嫌いなどの情動を判断し、それらを記憶する機能を担っています。
扁桃体の機能に異常があると、情動や感情のコントロールができなくなる、ささいなことで恐怖や不安を感じる、好き嫌いが極端になる、などの特徴がみられます。
スポンサーリンク