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新しい環境にうまく適応できず、憂うつな気分になる・・・
何だか分からないけど、イライラしてしまう・・・
涙もろくなったりして、情緒不安定になる・・・

こういった心の不安定さによって、日常生活や学業などに集中できなくなってしまう場合に「適応障害」といわれることがあります。

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今回は「適応障害」についてお伝えします。

適応障害とは?

心の病気のひとつに「適応障害」というものがあります。

厚生労働省によると、適応障害とは「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」と定義されています。(ICD-10参照)

私たちの日常生活の中には様々なストレスであふれています。

ストレスの中でも、自分が置かれている環境の変化などによるストレスはかなり大きいものになります。

引っ越しや転勤、転校、離婚、死別といったネガティブなものから、昇格や出世といったポジティブなものもこのストレスの中に入ります。

そういったストレスに対して心が適応しようとするのですが、うまく適応することができない状態になり、精神的に心のバランスが崩れることによってあらわれる症状を適応障害といいます。

ヨーロッパでの統計調査によると、人口の1%程度が適応障害になるといわれています。日本においての調査の結果では、末期がん患者の中での適応障害者割合が16.3%といわれています。

適応障害の症状・特徴とは?

適応障害は、ある特定の状況や出来事をとてもつらく感じたりして、気持ちや行動に症状が出てきたりします。

例えば、落ち込んだ気分や不安感が大きくなったり、涙もろくなったり、過剰に心配するようになったり、神経がピリピリしたりもします。

そのため、行動への影響としては、無断欠席や車の運転が荒くなったり、短気になりトラブルをおこしたり、物を壊したり、といった症状がみられることもあります。

また、不登校やひきこもり、対人トラブル、そしてけんかや破壊行為、社会規範や他人の権利を侵すといったいった反社会的行動などもみられます。

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適応障害の原因は?

適応障害の主な原因はストレスによるものです。

几帳面で真面目、何事にも神経質であるなどの性格だと適応障害になりやすい傾向といわれています。

個人の適応能力の低さが適応障害を引き起こすとされ、一方で、平均的な適応能力を持つ人でも、過度のストレス因がもたらされると適応障害になることもあります。

ただ、ストレスになっている環境や出来事が明確なので、その原因となっている状態が過ぎ去ったり、出来事が終わってしまえば、その症状は次第に良くなっていきます。

しかし、ストレスとなっている状態から離れられない、ストレスの原因を取り除くことができない状況が続くと、適応障害が慢性化してしまうこともあります。

適応障害の主な治療は、心理療法や心理カウンセリングとなり、ストレスを解消し、さらにストレスに強くなる適応力をつけていくことも有効です。

まとめ

入学や就職、転校や転職、大切なものとの別れなど、それまでの生活環境が大きく変わることは、人生の中で幾度とおとずれるものです。

最初の間は気を張っているので、一生懸命新しい環境に馴染もうして頑張りますが、徐々に身体的にも精神的にも疲れがたまっていきます。

大体の場合は、何か”気晴らし”をしてストレスを発散させながら、少しずつ環境に適応していくのですが、新たな環境にどうしてもなじめないという気落ちが続く場合は「適応障害」になっている可能性があります。

落ち込んだ気分やイライラ感などが仕事や学業を停滞させる原因となり、日常生活に支障がでてきてしまいます。

また、適応障害と診断された中の40%以上の人が5年後には「うつ病」などの心の病気になっています。

実は、適応障害はその後の重い心の病気の前段階といえるのです。

なんだか新しい環境になじめない・・・
気分が落ち込んだ状態が続いてしまう・・・
イライラしたり、急に泣いてしまったり、情緒不安定になっている・・・

といった場合は、早めに専門家などに相談するようにしてください。

◆この記事は、東京工業大学名誉教授、精神科医、医学者である影山任佐先生執筆・監修の「図解雑学 心の病と精神医学(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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