社会不安障害(あがり症)は脳の過剰反応?脳内物質との関係は?

人間も含めて生物には、様々な危険から身を守るために本能として不安や恐怖を感じる機能があり、不安や恐怖を感じることは心の自然な反応です。

しかし、社会不安障害(極度のあがり症)の場合、危険や不安に反応する脳の反応が敏感すぎて、過剰反応してしまうのです。

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あがり症の原因は脳の過剰反応?

人間が感じている不安や恐怖は、脳によってコントロールされており、生命を危険から守るために重要な感情です。もし、不安や恐怖を感じなければ、生命に危険がある状況で自らの身体を守ることができなくなってしまいます。

不安や恐怖といった反応をつかさどっているのは、主に扁桃体という脳の部位です。危険を察知すると不安や恐怖の感情を生じさせ、心拍数を上げたり呼吸を早める身体反応の指令も出しています。

極度のあがり症「社会不安障害」の場合、扁桃体などの脳の部位の働きが異常に活発なってしまい、人前に出ると緊張したり、不安でパニックになってしまうといわれています。

不安や恐怖に反応する脳の部位

不安や恐怖に関係している機能を担っている脳の部位には次のようなものがあります。

①視床
視床は、視覚や聴覚など感覚系の神経情報を中継する脳脳部位。伝わった刺激を大脳系に送る機能がある。

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②海馬
海馬は、記憶や空間認知能力に関係する脳の部位。不安や恐怖の記憶は、海馬に一時的に保存され、条件付けられる。

③大脳新皮質
認知、思考、判断など高度な知的活動を担う脳の一番外側の部位。

④扁桃体
扁桃体は、不快な刺激を受け取ると、不安や恐怖を感じ、呼吸や脈拍などをあげる指令を出す。

社会不安障害と脳内物質の関係は?

社会不安障害(あがり症)の人は、脳内物質のバランスが崩れているともいわれています。

不安や恐怖に関係している脳内物質には、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどがあります。

セロトニンは心を安定させる働きがあり、セロトニンの分泌量が低下すると恐怖や不安感が高まり、安定した精神状態を保つのが難しくなります。

ドーパミンは集中力を高め、心地よさを感じる働きがありますが、ドーパミン分泌量が低下すると、やる気や意欲がなくなり、社会的な活動ができなくなってしまいます。

ノルアドレナリンは記憶力や意欲を高める働いがあり、積極性に関係している脳内物質です。しかし、ノルアドレナリンは大きなストレスを感じると分泌量が過剰に増え、不安や恐怖を感じさせる原因になります。

不安と恐怖の違いは?

不安も恐怖も、どちらも生き物が生命を守るために必要な感情です。

不安は自分の内側から湧き上がる漠然としたものであるのに対し、恐怖は具体的な対象によって生じる感情である点に違いがあります。

また、手足や身体の震え、発汗などの身体症状を起こす恐怖よりも、不安の方が穏やかで長時間続くのが特徴です。

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