社会不安障害(あがり症)の症状と診断基準(DSM-5)について
誰でも人前に出るとなると多少は緊張するものですが、その緊張状態が過剰になってしまうと心の病気(精神疾患)になります。
そこで今回は、日本人に多いと言われる「社会不安障害=あがり症」の症状と診断基準についてポイントをまとめてみたいと思います。
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社会不安障害(あがり症)とは?
社会不安障害とは、わかりやすく一言で言うと「あがり症」のことになります。
人は誰でも、たくさんの人がいる前で話したり何科発表したりするとき、多少なりとも緊張するのが普通の反応です。
俳優やプロスポーツ選手であっても、本番の直前になると「怖い」と不安や恐怖を感じ、あがってしまって失敗してしまうこともあります。
緊張して「あがる」という反応は、人間にとっては自然な反応の一つです。誰でも多少は緊張してあがることを経験したことがあるはずです。
ただし「あがる」のも程度の問題で、過剰な反応でなければ普通のことなので問題ありませんが、通常の社会生活に支障が出るほどの「あがり症」は、社会不安障害(社交不安障害/社交恐怖)という心の病気である可能性が高いと考えられます。
あがりやすい状況やシチュエーションは?
社会不安障害(あがり症)は、単なる内気や引っ込み思案といった性格の問題ではありません。
社会不安障害は治療が必要な病気で、本人の意識や気持ちの持ち方、考え方などで解決できるようなものではないのです。
では、どんな状況やシチュエーションのときに社会不安障害(あがり症)の症状があらわれやすいのでしょうか。
日本人のあがり症の場合、特に多いのが「人前で話すとき」に不安や恐怖を感じるケースです。
スピーチのときだけでなく、自己紹介をするときや会議での発言の時などに、声がふるえたり、手がふるえたり、汗がとまらなくなってしまう、といった身体症状がでてきます。
また、知らない人との電話や外食のときに症状があらわれる、という人もいます。
あがり症(社会不安障害)の症状の種類
社会不安障害(あがり症)の症状の現れ方においては、心理的な強い不安や恐怖と身体反応が関係しています。
恥ずかしい、変なことをしてしまった、など心の中で考えてしまい、不安が大きくなっていきます。社会生活の中で起こる不安や恐怖によって「顔が真っ赤になる」「汗が止まらない」などの様々な身体症状があらわれることがあります。
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また、人に見られていることだけでなく、不安や恐怖による身体反応を見られた自分が恐怖を感じていることに気づかれるかもしれない、とさらに不安や恐怖を感じることが多いようです。
社会不安障害の症状例
・発汗
・手のふるえ
・動悸
・赤面
・青ざめる
・声が出ない
・口が渇く
・めまい
・頻尿
・吐き気
・息苦しい
・顔がこわばる など
社会不安障害の診断基準(DSM-5)
以下のような症状がみられる場合には、社会不安障害と診断されます。社会不安障害の疑いがある場合には、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
【社交不安症/社交不安障害(社交恐怖)の診断基準(DSM-5)】
A.他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安。例として、社交的なやりとり(例:雑談すること、よく知らない人に会うこと)、見られること(例:食べたり飲んだりすること)、他者の前でなんらかの動作をすること(例:談話をすること)が含まれる。
B.その人は、ある振る舞いをするか、または不安症状を見せることが、否定的な評価を受けることになると恐れている(すなわち、恥をかいたり恥ずかしい思いをするだろう、拒絶されたり、他者の迷惑になるだろう)
C.その社交的状況はほとんど常に恐怖または不安を誘発する
D.その社交的状況は回避され、または、強い恐怖または不安を感じながら耐え忍ばれる
E.その恐怖または不安は、その社交的状況がもたらす現実の危険や、その社会文化的背景に釣り合わない
F.その恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6ヶ月以上続く
G.その恐怖、不安、または回避は臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
H.その恐怖、不安、または回避は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない
I.その恐怖、不安、または回避は、パニック症、醜形恐怖症、自閉スペクトラム症といった他の精神疾患の症状では、うまく説明されない
J.他の医学的疾患(例:パーキンソン病、肥満、熱傷や負傷による醜形)が存在している場合、その恐怖、不安、または回避は、明らかに医学的疾患とは無関係または過剰である
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