【あがり症】認知再構成法でマイナス思考やネガティブな考え方を変える

極度のあがり症「社会不安障害」では、人前などの状況でひどく緊張したり、不安や恐怖感を抱く特徴があります。

その緊張感、不安感、恐怖感を生み出している原因は、本人の思考パターンや考え方にあり、そのことを「認知の歪み」や「思考のクセ」と呼ぶことがあります。

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そこで今回は、認知の歪みや思考パターンを変えようとする認知行動療法の技法のひとつ「認知再構成法」についてポイントをまとめてみたいと思います。

あがり症の人はマイナス思考でネガティブが多い?

社会不安障害(極度のあがり症)の人が、過度の緊張、不安、恐怖を感じてしまう背景には、物事のとらえ方(認知)がかたよっていることが関係しています。

自分がおかれている状況やその場のシチュエーション、まわりの人に対して歪んだ認知があったり、ネガティブ(悲観的)に考える思考パターンがある場合も少なくありません。

例えば、友達にメールを送ったのに相手からなかなか返信がこない場合、「今忙しいからかな?」「そのうち返信がくるだろう」と特に気にしない人もいます。しかし、中には「嫌われているのかも」「文章に書き方が悪かったのでは」などと、ネガティブ思考で考えてしまう人もいます。

このようなネガティブな考え方、マイナス思考は、社会不安障害(極度のあがり症)の人に多いのも特徴です。そうしたネガティブなとらえ方、マイナス思考によって、不安や恐れの感情が大きくなってしまうのです。

認知再構成法とは?

認知行動療法の技法のひとつである「認知再構成法」とは、不安の背景にある認知のゆがみ、マイナス思考のクセを変えて再構成し、思考パターンを変化させている方法です。

社会不安障害(あがり症)の人は「この状況がつらい、苦しい、逃げ出したい」と思うことが多いのですが、その不安やストレスを生み出しているのは周囲の状況や場面ではなく、本人の思考パターンが生み出しているのです。

同じ状況やシチュエーションであっても、物事のとらえ方を変えればつらさもなくなり、楽に感じることもできます。不安があると、ゆがんだ物事のとらえ方になってしまいます。

しかし、物事のとらえ方、思考、考え方はひとつではなく、別の認知があり、その方が的を得ているとわかれば、心理的な不安も軽減されます。

認知再構成法は「私はダメ人間と思われている」という歪んだ認知があるときに、そのゆがんだ認知を再構成していこうという技法になります。

自分の思考パターンや考え方を見直す

苦手な状況や場面で感じる緊張感、不安や恐怖を軽減するために認知を再構成していくためには、まずは自分が陥りやすい思考パターンや考え方を自覚することからスタートします。

人によって物事のとらえ方、思考のクセ、認知のゆがみは違い、次のようなパターンに分けることができます。

・白黒思考(白か黒か二択で決めつける)
・選択的抽出(失敗した記憶など気になることだけを突き詰める)
・極端な一般化(次からも常に同じ失敗をしてしまうと考える)
・破局的見方(悪い結果ばかり考える)
・レッテル貼り(すべて自分に問題があると考える)
・すべき思考(何事もこうあるべきと考える)
・マイナス思考(長所に目を向けることができず、欠点ばかりに意識が集中する)

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自分の思考パターンがどんなタイプなのか、しっかりと自覚し、見つめ直すことから、認知の再構成がスタートするのです。

物事のとらえ方(認知)を変える

「何をやってもダメ」とネガティブな考え方をしてしまう人は、ちょっとした失敗でもすぐに落ち込んでしまいがちです。マイナス感情を生じさせる原因は、状況ではなく、本人のマイナス思考が関係しているのです。

間違った認知、歪んだ認知、ネガティブな考え方やマイナス思考が、自己嫌悪や回避行動につながっています。歪んだ認知を変化させようとするアプローチが認知再構成

例えば、「道を歩いているときに知り合いにあったのに、自分に気がつかず通り過ぎていってしまった」という場面で考えてみましょう。

【認知①】「無視された。なんて嫌な人だ。」

『回避行動』
相手に無視されて自分が嫌な思いをするくらいなら、そうした状況を避けるようになる。

【認知②】「私が何か変なことをしたから嫌われたのかもしれない」

『自己嫌悪』
ちゃんとした行動もできなくて、なんてダメな人間なんだろう、と自分のことを責め、自己嫌悪に陥る。

【認知③】「たまたま気がつかなかっただけかも」

『認知再構成』
相手がたまたま自分に気がつかなかただけで、次に見かけたときは話しかけてみようと考え、自分から行動をおこすようにしてみる。

認知再構成法の方法ややり方は?

歪んだ認知を修正していく認知再構成法には、様々な方法がありますが、ここでは代表的なやり方を紹介したいと思います。

【セルフモニタリング】
自分自身の「認知・行動・身体反応」をよく観察し、いつも陥ってしまう思考パターンに気づくこと。臨床心理士と一緒に観察してくこともある。

【ビデオモニタリング】
他人との会話を撮影し、後でそれを見ながら「実際の自分はどのように話していたか」「相手の反応はどうか」と客観的に観察する。

【ロールプレイ】
何人かのグループで、それぞれの役割を決めて演じてみることで、相手の反応や相手の立場になったときの感じ方などを検証する。

【思い込みの検証実験】
臨床心理士などの治療者と一緒にレストランなどに行き、自分が不安に思っている行動をすると、まわりの人がどのような反応をするのか、実際に確かめてみる。

正しい認知は客観的に見ることから始まる

認知のゆがみは、過去の失敗体験などから作られ、それがパターン化していき、思い込みになります。しかし、その思い込みを客観的にとらえることができるようになると、認知を変えることができます。

客観的にとらえてみると、自分の思い込み、歪んだ認知がわかってきます。その上で、自分が陥りやすい思考や考え方のパターンを自覚し、それを変えていく方法を実践することで、思考パターンを変化させることができます。そして、過度な緊張や不安、恐怖感が軽減されていくのです。

そもそも「認知行動療法」とは?

認知再構成法は認知行動療法の技法のひとつですが、そのそも「認知行動療法」とはどのような方法なのでしょうか。

「認知行動療法」とは、複数の治療法を組み合わせて誕生した精神療法のひとつです。

かつて、20世紀半ばまでの精神療法は、患者さん(クライアント)に対して具体的なアドバイスをせず、クライアントお話しを聞いて分析する技法が主流でした。

しかし、1960年代になってから、認知のゆがみを修正し、適応的認知に変化させる「認知療法」が生まれ、さらに行動の変化を通して認知の変化を促す「行動療法」が組み合わさり、今の「認知行動療法」が誕生したのです。

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