87 村雨の〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】
87 村雨の 露もまだひぬ 真木の葉に 霧立ちのぼる 秋の夕暮れ 【寂蓮法師】
読み方(むらさめの つゆもまだひぬ まきのはに きりたちのぼる あきのゆふぐれ)
出展「新古今和歌集」
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意味「87 村雨の〜」
通り過ぎていったにわか雨がまだ乾ききっていないうちに、杉やヒノキの葉に、霧が立ちのぼっている、秋の夕暮れよ。
作者:寂蓮法師とは?
この歌を詠んだ寂蓮法師(じゃくれんほうし)は、平安時代末期から鎌倉時代にかけての歌人です。
出家前の名前は藤原定長(ふじわらのさだなが)といい、百人一首の第97番歌の作者:藤原定家のいとこにあたります。
藤原定長(寂蓮法師)は「新古今和歌集」の撰者のひとりでしたが、完成前に亡くなりました。
解説「87 村雨の〜」
この歌は、目の前の美しい風景を描写した歌で、雨上がりに霧が立ちのぼって霞んでいく秋の夕暮れのさびしさや美しさを歌であらわしています。
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曇り霧で霞んでいる風景を「幽玄(ゆうげん)」といい、かすんでいるけれど美しい世界、幻想的な世界と感じるのが当時の日本で流行だったようです。
中国の水墨画の世界のような感性ですね。
「村雨の」は、「にわか雨」の意味です。
「露もまだひぬ」は、「(雨の)露のしずくもまだ乾かない」という意味になります。
「槇」は、「上等な木」の意味の「真木」のことで、ヒノキや杉を指します。
上の句が「む」から始まるのはこの歌だけ
上の句の最初の一字目が「む」の歌はこの歌だけです。一字目を聞くだけでどの歌かわかる歌は、百人一首の中で全部で7首あります。一字目で決まるので「一字決まり」の歌になります。
「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」
18 すみのえの ー ゆめのかよひぢ
22 ふくからに ー むべやまかぜを
57 めぐりあひて ー くもがくれにし
70 さびしさに ー いづこもおなじ
77 せをはやみ ー われてもすえに
81 ほととぎす ー ただありあけの
87 むらさめの ー きりたちのぼる
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