73 高砂の〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】

73 高砂の 尾の上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ 【権中納言匡房】

読み方(たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ)

出展「後拾遺和歌集」

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意味「73 高砂の〜」

はるか遠く高い山の峰に、きれいな桜の花が咲いたなぁ。人里近い山の霞よ、どうか立たないでほしい。

作者:権中納言匡房とは?

作者の権中納言匡房(ごんちゅうなごんまさふさ)は、平安時代後期を代表する歌人の一人で、本名を大江匡房(おおえのまさふさ)といいます。

大江匡房の生まれた大江家は、有名な学問の家柄でした。第23番歌の作者:大江千里、第59番歌の作者:赤染衛門と結婚した大江匡衡も、同じ大江家の出身ですね。大江匡房は、赤染衛門と大江匡衡のひ孫にあたります。

大江匡房は、子供の頃から神童と呼ばれ、和歌や漢詩だけでなく、儒学にも優れていて、多くの人から尊敬されました。

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解説「73 高砂の〜」

この歌は、内大臣の藤原師通(ふじわらのもろみち)の家で、みんなでお酒を飲んでいて「遠くの山に桜が見える(遥かに山の桜を望む)」という代で歌を詠もう、といって詠まれた歌です。

遠くの山に桜が咲いている、だからその桜の花が見えるように、人里近い山の霞よ、どうか立たないでほしい、と詠っています。

この歌の「高砂」は、地名ではなく高い山を指します。「尾上」は、「山の峰」の意味です。

「咲きにけり」は、「咲いたなぁ」という意味で、「外山」は「人里近い山」を意味しています。

「立たずもあらなむ」は、霞に呼びかけている表現で、「どうか立たないでおくれ」という意味になります。

上の句が「た」から始まる二字決まりの歌

上の句の一文字目が「た」から始まる歌は、百人一首の中で6首あります。6首全部、二字目でどの歌かわかる「二字決まり」の歌です。

4 たごのうらに ー ふじのたかねに
16 たちわかれ ー まつとしきかば
34 たれをかも ー まつもむかしの
55 たきのおとは ー なこそながれて
73 たかさごの ー とやまのかすみ
89 たまのおよ ー しのぶることの

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