今日、私たちの日常会話の中でも「無意識」という言葉が普通に使われています。
その「無意識」という考え、概念を世に拡げ、現代の精神医学、心理学に大きな影響を与えた人のひとりは、精神分析者のフロイトと言えるでしょう。
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今回は、その「フロイト博士」と彼の「精神分析」についてお伝えします。
フロイト博士ってどんな人?フロイトの精神分析とは?
オーストリアの精神分析者、精神医、ジークムント・S・フロイト。
心理学を学ぼうとした人が必ず一度は聞いたことがある名前ですね。
こんな人です。
なかなか渋い感じですね。
フロイト博士は、シェイクスピアやニーチェが好きだったそうです。
実は、フロイトが心理学者かどうかについては、いろいろと意見が分かれているみたいですが、フロイト自身の著書の中で”自分は心理学者だ”と書いているそうですね。
意識・前意識・無意識とは?
人間の気持ちや感情などの精神活動は、本人がそのすべてを意識しているわけではなく、無意識的に行われているものも存在する、として、フロイトは人間の心の領域を次の3つにわけました。
- 意識
- 前意識
- 無意識
前意識とは、意識と無意識の中間的なもので、普段は意識されないが必要に応じて意識化されるものです。
人間の持つ本能的な欲求や衝動は、そのまま表現したり、その欲求や衝動に基づいて行動したりすると、周りの状況によっては不適切、不具合となる場合があります。
そこで本能的欲求は、フロイトが「検閲」と名付けだ精神の働きによって、意識や前意識の領域に上がる(意識化される)のを妨害されたり、意識的だったものが無意識化されたりします。
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そういった本能的欲求などが無意識の領域に閉じ込められることを「抑圧」といい、抑圧自体も無意識的な働きでおこります。
抑圧された欲求や衝動は、無意識領域でなくなってしまうのではなく、形を変えて存在し続けます。
それが例えば夢の中で何か象徴的な形としてあらわれたり、神経症などの症状となってあらわれたりするといわれています。
精神分析とは?「自由連想法」について
ジークムント・S・フロイトによって提唱されたのが「精神分析」です。
この「精神分析」は、人間の言動や空想、夢、様々な症状などの無意識的な意味を理解していこうとする技法のことで、心理学的な探求法と治療法、理論体系となります。
具体的にどんな手法がおこなわれるのでしょうか。
1)まず、相談者=クライアントがゆったりとしたソファー(寝椅子)に横になりリラックスした状態になります。
2)次に、治療者の誘導によってトランス状態=催眠状態に入っていきます。
3)そして、心の中に浮かんでくるイメージや観念、感情をありのままに治療者に語っていきます。
こういった手法を「自由連想法」といいます。
治療者「何が見えますか?」
相談者「□□が見えます。」
といった感じですね。
そして、
治療者「□□から連想するイメージはどんなイメージですか?」
相談者「□□といえば、○○のにつながっている感じがします。」
と続いていきます。
治療者はこの「自由連想法」によって、相談者の心の中にある葛藤を認識して、その葛藤を解消・説明していくことで、相談者が自分の心の内面についての洞察を深めていくことになります。
まとめ
現在、心理カウンセリングをはじめ、様々な心理療法があり、その数約400種類以上といわれています。
そのほとんどが、フロイトの「精神分析」から派生し形を変え発展していったといっても過言ではないと思います。
実際には、後の心理学者たちによってフロイトの考えや理論・手法は、批判されることも多く、また反証されている部分もかなり多いのですが、フロイトの理論や手法が後の時代に大きな影響を与えている、という点においては異論はないでしょう。
◆この記事は、東京工業大学名誉教授、精神科医、医学者である影山任佐先生執筆・監修の「図解雑学 心の病と精神医学(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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