パニック障害と似ている病気、間違えやすい病気について
パニック障害と似ている病気、間違えやすい病気にはどんなものがあるのでしょうか?
具体的には次のような病気が考えられます。
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低血糖
低血糖は、脳やからだのエネルギーとなる血統がすくなる病気です。
インスリン自己免疫症候群、副腎皮質ホルモンの低下などの病気、また糖尿病の人がインスリンや血糖降下剤を過剰にとりすぎた場合などに起こります。
脱力感、動悸、発汗、異常な空腹感が起こり、ひどい場合は全身がけいれんし、意識を失います。尿糖、血統などを調べます。
褐色細胞腫
褐色細胞腫とは、副腎髄質や交感神経節細胞にできる腫瘍です。
この腫瘍の影響で、血圧や血糖の調整に関わるホルモン(カテコールアミン)が、過剰に分泌されるようになります。
高血圧、頭痛、動悸、発汗、発作的な顔の紅潮、体重減少、立ちくらみ、便秘などの症状がおこります。
血中や尿中のカテコールアミン値の検査、腹部の画像検査を行います。
更年期障害
更年期障害とは、閉経前後の女性にみられる症状です。
卵巣ホルモンの分泌量が低下することによって、突然ののぼせや発汗、めまい、耳鳴り、頭痛、不整脈、吐き気、肩こりなど、全身に様々な症状を起こします。
食欲不振、不眠、イライラ、不安感、うつ状態などを訴える人もいます。
血液検査で卵巣ホルモンの量を測定すると更年期障害かどうかを診断できます。
狭心症
狭心症とは、心臓への血液が妨げられ、心筋が虚血状態になる病気のことです。
発作の時間は1〜15分程度で、発作が起こると死のうが押しつぶされるような痛みを伴い、不安な感じがします。
病気が進むと心筋梗塞を起こし死に至ることもあります。
心電図検査で、心筋の虚血状態を調べて、狭心症かどうかを診断します。
24時間連続して心電図を記録できるホルター心電計を使うことで、より正確な診断ができるようになっています。
僧帽弁逸脱症
僧帽弁逸脱症とは、心臓の僧帽弁が収縮期に左心房に落ちこむ病気です。
主な症状は、胸の痛み、めまい、不整脈、動悸、呼吸困難などパニック発作とよく似ています。
聴診器で心臓の音を聞くと、収縮中期にクリック音が伝わってきます。
もし発作を恐れる予期不安や広場恐怖がみられることがあれば、パニック障害を併発したと考えます。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症とは、新陳代謝を促す甲状腺ホルモンの働きが進みすぎてしまう病気です。
最も多いのはバセドウ病です。
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代謝が常に異常に活発になるので、普通に生活していても、常に走り回っているような疲労感があります。
主な症状として、動悸や息切れ、発汗、体重減少などがみられます。
血液検査で、甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの量を調べれば、甲状腺機能の異常がみつかります。
不整脈
不整脈とは、規則正しい心臓のリズムが、一時的、あるいは持続的に乱れるものです。
一瞬、脈が飛ぶ場合や急に脈が速くなる場合、反対に脈が遅くなる場合など、脈の打ち方に規則性がない場合など、いくつかのタイプがあります。
激しい動悸やふらっとして立っていられない感じ、不安な感じを訴える人もいます。
ホルター心電計で心電図検査をすると、より正確に診断できます。
側頭葉てんかん
脳の側頭葉の神経細胞が異常放電することで、てんかん発作を起こします。
発作は、発汗、顔面紅潮、過呼吸、頻脈といった自律神経症状に加えて、驚き、おそれ、非現実感などの精神変調を起こします。
パニック発作と違う点は、発作中に意識が途切れることがあるという点です。
全身のけいれんや幻覚を伴うこともあります。脳の画像検査や脳波の検査をおこないます。
メニエール病
メニエール病とは、内耳のリンパ液の異常によって起こる病気です。
ストレスや過労が引き金となって発症することがあります。
回転性のめまいが突然起こり、耳鳴り、難聴、吐き気、嘔吐などの症状を伴います。
耳鳴りは両耳よりも片側だけという人が多いようです。
発作の時間は1時間から6時間と長いことが、パニック発作とは違う点です。
聴覚検査など、耳鼻科的検査で判断します。
まとめ
以上のようにパニック障害と似ている病気、間違えやすい病気は様々です。
大きく3つに分けると次のようになります。
【①心臓や甲状腺の病気と似た点、違う点】
突然、激しい動悸や息苦しさにおそわれたとき、まっさきにパニック発作を疑うのはむしろ危険です。循環器の病気や、身体を調整しているホルモンの異常などが隠されているかもしれません。
【②動悸などを起こす病気】
パニック発作で目立つのは、なんといっても激しい動悸や息切れ、めまいといった症状です。こうした症状は、心臓の病気や甲状腺の病気などでもおこります。
【③血液検査や心電図検査などの基本的な検査をすれば診断で分かる】
これらの病気とパニック発作は検査をすればすぐに判別できます。パニック発作の場合は、身体の異常がないことが診断基準のひとつになっているからです。
◆この記事は、精神科医、赤坂診療所所長、渡辺登先生執筆・監修の「パニック障害(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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