アスペルガー症候群、高機能自閉症とは?違い、特徴について
アスペルガー症候群も、高機能自閉症も、どちらもDSM-Ⅳ-TR(アメリカ精神医学会が作っている「精神障害の診断と統計マニュアル」)の診断基準では「広汎性発達障害」に含まれます。
(※最新版は2013年5月発表のDSM-5では「自閉症スペクトラム障害」となっています)
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両方とも、自閉症の一種をさす診断名で、同じ特徴をもっています。
広汎性発達障害とは
広汎性発達障害は、かなり幅広い概念になります。
アスペルガー症候群、高機能自閉症をはじめ、トゥレット障害や小児期崩壊性障害など、自閉症以外の障害も広汎性発達障害に含まれます。
広い範囲に発達の遅れがあること、特に社会性やコミュニケーション能力、行動の偏りに問題がみられる場合、広汎性発達障害に該当すると考えられます。
自閉症とは
自閉症とは、脳の機能のなんらかの異常により、コミュニケーション能力、知覚や認知に偏りをもつ発達障害です。
自閉症の診断名は、知的能力(IQ)によって、高機能、中機能、低機能の3つのカテゴリーに分けられています。
アスペルガー症候群とは
アスペルガー症候群とは、自閉症と同じ特性を持ちながら、言語能力に関する遅れが見られない場合の診断名になります。
言葉が使えて、知的能力(IQ)が高いので、アスペルガー症候群は高機能自閉症の一群とされています。
アスペルガー症候群と高機能自閉症はよく似ている
アスペルガー症候群と高機能自閉症は、診断名は違いますが、その特徴はよく似ていて共通点が多いです。
どちらも自閉症の一種で、想像力や社会性の発達に遅れがみられますが、知的発達に遅れがない点で(知的障害がない)、一般の自閉症とは区別されています。
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アスペルガー症候群、高機能自閉症のどちらも、起こりやすい問題は同じで望ましい対応も同じ方法になるので、アスペルガー症候群と高機能自閉症両者を区別しない専門家もいます。
子どもの頃はアスペルガー症候群に気づきにくい
アスペルガー症候群の子どもは、言葉を流暢に使うため、幼少期では発達の問題を疑われにくく、気づきにくい傾向があります。
そのため、対応が遅れたり、友達やまわりの人から誤解されることにつながりやすいのです。
アスペルガー症候群の支援においては、身近にいる親や教師が、アスペルガー症候群の子どもの悩みに敏感であることが大切です。
アスペルガー症候群にみられる3つの行動面の特徴
アスペルガー症候群は、知的障害がなく、言葉を使える自閉症です。
自閉症特有のこだわりや認知の障害が言葉のはしばしに現れ、ときにそれがトラブルの原因にもなります。
①想像力が育ちにくい
・想像力や応用力を働かせた、柔軟な対応ができない。
・予定外のことが起きると、急に混乱する。
・ふだんと違う道を通ると怖がる。
・物事が予定通りに進まないと怒る。
②社会性が乏しい
・対人関係をつくれない。
・友達を避けたり、初対面の人に親しく話しかけるなど、社会的な距離をつかめない。
・集団行動をとる場面で混乱する。
・悪意なく、面と向かって友達に悪口を言う。
③会話がすれ違う
・言葉は覚えるが、正しく使えない。
・人の話を誤解したり、質問と違う答えをすることが多い。
・質問に答えず、好き勝手に話をする。
・場面に合わない、丁寧すぎる言葉を使う。
◆この記事は、児童精神科医、川崎医療福祉大学特任教授である佐々木正美先生執筆・監修の「アスペルガー症候群のすべてがわかる本(講談社)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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