若年層で増えている新型うつ病、症状と特徴について
最近、注目されるようになった「新型うつ病」は、若い世代を中心に発症し、従来のうつ病とは異なった症状が特徴として見られます。
わがまま、自分勝手と誤解される「新型うつ病」
従来のうつ病のイメージではとらえきれない「新型うつ病」が若者の間に広がっています。
スポンサーリンク
怠けや身勝手とも誤解されることも多い「新型うつ病」について、特徴や症状について詳しくみてみましょう。
従来のうつ病と「新型うつ病」の違い
従来のうつ病と新型うつ病のそれぞれの症状や特徴について、次のようにまとめてみました。
こうして比較してみると、どのように違うのか、分かりやすいですね。
従来の典型的なうつ病モデル
【病前性格】
・真面目
・几帳面
・熱心
・責任感が強い
・自責的
【好発年齢】
・35〜55際に発症が多い
【うつ症状のムラ】
・ほとんどない。
・よいことがあっても気分は改善しない。
・好きなことや興味のあることも楽しめない。
「新型うつ病」モデル
【病前性格】
・自己中心的
・マイペース
・依存的
・拒絶に対して過敏
・他罰的
【好発年齢】
・20〜30代前半に発症が多い
【うつ症状のムラ】
・よいことがあると気分が持ち上がる。選択的抑制がある
(職場ではうつ症状が強くなる)
自分の好きなことならできるのも新型うつ病の特徴
うつ病といえば、憂うつやおっくう感のため、なにもできなくなる、自分を責める、といった症状が典型的です。
スポンサーリンク
しかし、「新型うつ病」の症状は、従来のうつ病とはまるで正反対のような症状が特徴的です。
「新型うつ病」のおおまかな特徴は次のとおりです。
・20〜30代前半での発症が多い
・職場や仕事では、うつ症状が現れるが、自分の好きなことには症状はなくなり、比較的活動的になる
・身体的不調をともなう
・過眠、過食の傾向がある
・うつ病であること、うつ病で休職することに抵抗が少ない
・自責感に乏しく、他罰的
・難知性で、慢性化しやすい
こうして見てみると、新型うつ病は従来のうつ病とは病気の様子が異なります。
しかし、世界保健機関(WHO)の診断基準(ICD-10)に照らすと、「新型うつ病」はうつ病の範疇に入るのです。
新型うつ病を診断基準に当てはめてみると
新型うつ病をWHOの国際診断基準であるICD-10に当てはめた結果、「新型うつ病」はうつ病の範疇に入ると考えられます。
【ICD-10 うつ病エピソード】
<大項目>
①抑うつ気分 「ある」
②興味と喜びの損失 「ときにある」
③易疲労感の増大と活動性の減少 「ときにある」
<小項目>
①集中力と注意力の減退 「ときにある」
②自己評価の乏しさと自信のなさ 「ない」
③罪責感と無価値観 「ない」
④将来に対する希望のない悲観的な見方 「ない」
⑤自傷あるいは自殺の観念や行為 「ときにある」
⑥睡眠障害 「ある」
⑦食欲不振 「ときにある」
(以上の症状が2週間以上続いている)
◆この記事は、赤坂診療所所長、精神保健指定医、渡辺登先生執筆・監修の「これでわかるうつのすべて(成美堂出版)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
スポンサーリンク