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脳梗塞や心筋梗塞がうつ病の要因になることも?

脳梗塞、脳出血、心筋梗塞など、無関係と思われるような脳や心臓の病気から、うつ病を発症することがあります。

脳の神経細胞の異常がうつ病の要因になる

うつ病を招く代表的な脳の病気は「脳血管障害」です。

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脳の血管が血栓(血の固まり)などによって詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「頭蓋内出血」といった脳血管障害は、脳の組織を破壊します。

その結果、脳の神経細胞が脱落して、感情をコントロールする神経ネットワークの機能が低下し、うつ病になることがあります。

脳の病気が発病して3ヶ月から2年の間に、うつ病になりやすいといわれています。

脳梗塞で言葉が不自由になった、手足に障害が残ったなどの神経症状だけに目を向けていると、うつ病に症状を見逃してしまうことがあるので注意が必要です。

高齢者に多い潜在性脳梗塞とうつ病の合併

脳血管障害では、手足の障害や言語の不自由などの神経症状があらわれます。

ところが、脳のCTやMRI検査、MRA検査で脳梗塞が発見されたのに、それに相当する症状がみられない場合があります。

これを「潜在性脳梗塞」といいます。

潜在性脳梗塞では、身体の症状が現れないのに、うつ病が発症する場合があります。

心筋梗塞、高血圧症でうつ病が起こることも

心臓の冠動脈が血栓によってふさがれる「心筋梗塞」から、うつ病を発症する場合があります。

心筋梗塞によってうつ病が起こる頻度は、15〜44%と高い割合といわれています。

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しかし、うつ病の多くは見逃され、心筋梗塞の回復が遅れることもあります。

また、高血圧症の人の30%がうつ病を合併しているといわれています。

治療を受けても高血圧症の症状が回復せず、気力の低下、おっくう感がある場合、うつ病の疑いがあるといえます。

脳の病気によって起こるうつ病の割合

・てんかん 55%
・パーキンソン病 40%
・ハチントン舞踏病 35%
・多発性硬化症 34%
・アルツハイマー病 30%
・脳血管障害 30%
・外傷性脳損傷 27%
・多発梗塞型認知症 24%

脳血管障害の種類

【脳梗塞の種類】

①脳血栓
血管の内壁に脂肪の固まりができ、その結果、血管が詰まったり、血の固まり(血栓)が生じて血管を詰まらせることで起きる。

②脳塞栓
脳以外の臓器から血の固まりや脂肪、腫瘍細胞が流れてきて、脳血管をふさぐと脳塞栓が起こる。心臓弁膜症、心筋梗塞などによって、心臓の内壁にある壁で生まれた血の固まりが流れてくることが多い。

【頭蓋内出血】

①脳出血
脳の細い血管に動脈硬化などの異常が起こり、血管の弾力性が失われることで、動脈瘤が発生する。その動脈瘤が高血圧のために破裂し、脳内に出血する。

②くも膜下出血
脳を覆っている3層の膜のうち、一番外側にあるのがクモ幕、真ん中を脳軟膜といい、先天性に生じた動脈瘤が破裂し、クモ膜と脳軟膜の間に出血する疾患をクモ膜下出血という。外傷、脳腫瘍などでも起こることがある。

◆この記事は、赤坂診療所所長、精神保健指定医、渡辺登先生執筆・監修の「これでわかるうつのすべて(成美堂出版)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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