うつ病の原因「生物学的要因」とは?
脳のどのようなバランスの乱れによってうつ病がおこるのか、すべてが解明されたわけではありませんが、脳内の神経伝達物資の過不足が要因になるというのが要因になるという説が考えられています。
感情や思考は脳の神経細胞がつくる
人間の脳は、約140億個の神経細胞からできています。
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そして、それらの神経細胞同士がネットワークをつくり、情報のやりとりをすることで、臓器を含めた身体の活動をつかさどり、また、喜怒哀楽や思考という精神的な活動も生み出しています。
うつ病の症状が感情や気分という脳の働きに関わっていることから、うつ病と神経細胞の関係は早くから注目されていました。
近年では脳の研究も進み、神経細胞が情報を伝達する仕組みが明らかにされつつあります。
その中で、うつ病の要因として有力視されているのが、神経細胞が放出する「神経伝達物質」と呼ばれる化学物質です。
神経伝達物質が情報の伝達をたすける
脳を調整する神経細胞は、脳の隅々までネットワークのようにはりめぐらされています。
しかし、コードのように一本につながってはおらず、神経細胞同士の接続部分はプツンと途切れた状態となっています。
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この神経細胞の途切れているスキマの部分を「シナプス間隙」といいます。
脳が情報を伝える際には、神経細胞の中を電気信号(インパルス)が走っていきます。
ところが、神経細胞にはシナプス間隙がありますから、このスキマを橋渡ししてくれるものが必要です。
手持ちの情報を向こう岸まで運ぶ、渡し舟のような役目を果たしているのが神経伝達物質です。
神経伝達物質は神経細胞から放出されると、次の神経細胞を刺激することで情報を伝えます。
情報を伝え終えると、神経伝達物質はシナプス間隙に残った神経伝達物質を「再取り込み口」から取り込み、再び電気信号がやってくるのに供えます。
神経細胞の情報伝達について
脳はおよそ140億個の神経細胞から構成されています。
①神経細胞が興奮すると、興奮は「インパルス」という電気信号となり、神経細胞の端(神経終末)まで達する。
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②神経終末から次の神経細胞の間にはわずかなスキマ(シナプス間隙)があり、神経伝達物質という化学物質が放出される。
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③神経伝達物質が次の神経細胞を興奮させることでインパルスが生じ、情報が伝わり、情報が伝わることで思考や感情が現れる。
◆この記事は、赤坂診療所所長、精神保健指定医、渡辺登先生執筆・監修の「これでわかるうつのすべて(成美堂出版)」の内容を元に、当サイト編集事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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