15 君がため〜 |歌の意味・解説・翻訳【百人一首】

15 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ 【光孝天皇】

読み方(きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ)

出展「古今和歌集」

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意味「15 君がため〜」

あなたのために、まだ冬の寒さが残っている春の野原に出て、若菜をつんでいる私の着物の袖に雪がしきりに降りかかっています。

作者:光孝天皇とは?

光孝天皇(こうこうてんのう)は第58代天皇。第54代の仁明天皇(にんみょうてんのう)の第三皇子で、第57代の陽成天皇(陽成院)の後に、藤原基経によって即位することになりました。

光孝天皇は、権力争いとは無縁の温和な性格で、風流の才に恵まれていたといわれています。

解説「15 君がため〜」

この歌は、作者の光孝天皇がまだ皇子だったとき、人に若菜をプレゼントしたときに添えて詠んだ、贈り物の歌です。

当時、正月七日に若菜をつんで食べることで、その一年は悪いことから逃れる、という習慣があったのです。現在の「七草がゆ」の由来ですね。

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ただ、若菜をつむのは女性の仕事だったので、男性である光孝天皇が実際につんだのではなく、別の人がつんだのではないか、ともいわれています。

人に若菜をおくる際、まだ年齢も若い皇子が「私の着物の袖に雪が降っている」と歌も一緒に添えておくったのでしょうね。当時は歌をおくることもプレゼントだったのです。

「君がため」とは、「(愛しい)あなたのために」という意味です。「君」という表現は、平安時代では男性から女性に使う言葉でしたが、それ以前の時代では女性から男性に使う、逆の表現でした。

「衣手」は着物の袖を意味しています。「つつ」は動作が続いていることを表現する言葉です。

そのため「わが衣手に雪は降りつつ」は「私の着物の袖に雪が降り続いている」という意味になりますね。

「君がため」の歌は2首あるので注意

上の句が「君がため」から始まる歌は2首あります。

15 きみがため ー わがころもでに
50 きみがため ー ながくもがなと

また、下の句が「1 あきのたの」の歌と似ているので注意が必要です。

15 きみがため ー わがころもでに
1 あきのたの ー わがころもでは

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